「NARUTO―ナルト―」作者・岸本斉史さん 新連載『サムライ8(エイト)八丸伝(ハチマルデン)』スタート 君も完璧じゃなくていい

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ナルト(左)が「口寄せの術」で新ヒーローの八丸を呼び出す。岸本さんと大久保さんの合作イラスト (c)岸本斉史・大久保彰/集英社
ナルト(左)が「口寄せの術」で新ヒーローの八丸を呼び出す。岸本さんと大久保さんの合作イラスト (c)岸本斉史・大久保彰/集英社
『サムライ8 八丸伝』がスタートする「週刊少年ジャンプ」24号(制作段階のため、一部変更の可能性があります) (c)週刊少年ジャンプ2019年24号/集英社
『サムライ8 八丸伝』がスタートする「週刊少年ジャンプ」24号(制作段階のため、一部変更の可能性があります) (c)週刊少年ジャンプ2019年24号/集英社

 「週刊少年ジャンプ」(集英社)で連載され、世界累計発行部数2億5000万部以上の大ヒット作となった『NARUTO―ナルト―』が完結して5年。作者の岸本斉史さん(44)が、13日発売の同誌で、新連載『サムライエイト 八丸伝ハチマルデン』をスタートさせる。「忍者」と「マンガ」という日本発ポップ文化の融合で世界中の読者を魅了した作家は、「サムライ」で再びブームを起こせるか。作画は岸本さんがほれ込んだ新人、大久保彰さんが担当する。(川床弥生)

主人公を丁寧に

 きしもと・まさし 1974年生まれ、岡山県出身。96年「週刊少年ジャンプ」の新人漫画賞で佳作受賞。99年に『NARUTO―ナルト―』の連載を開始。2015年に同作で芸術選奨文部科学大臣新人賞。 撮影・米田育広
 きしもと・まさし 1974年生まれ、岡山県出身。96年「週刊少年ジャンプ」の新人漫画賞で佳作受賞。99年に『NARUTO―ナルト―』の連載を開始。2015年に同作で芸術選奨文部科学大臣新人賞。 撮影・米田育広
岸本さんが描いた第1話のネーム。細かい設定まで描き込まれている (c)岸本斉史・大久保彰/集英社
岸本さんが描いた第1話のネーム。細かい設定まで描き込まれている (c)岸本斉史・大久保彰/集英社

 ――『NARUTO―ナルト―』の最終回を描き上げた時の気持ちは。

 「これでやっと息ができる」。ずっと水中に潜り続けていた感じなんです。空の下で空気を吸えるようになって解放された。2年くらいは外を散歩ばかりしていました。

 ――うずまきナルトは岸本さんにとって、どんな存在ですか。

 自分の子供みたいなものなのかな。相棒でもあるし、兄弟のようでもある。自分自身に思える時もある。マンガという商品として客観的に見ているところもあります。最近1話目を読み返して、意外とよくできてるなぁって感心したり。

 でも、反省点もあるんです。僕はキャラクターにはみんな愛着があるので、全部丁寧に描きたい。主人公そっちのけで脇役の物語を描きすぎたところがあります。「読者はナルトを見たいんだ」と、当時のジャンプ編集長にもしかられました。その反省を新連載では生かそうと思っています。

侍もSFも好き

 ――『NARUTO』の世界的人気についてはどう感じていますか。

 みんな忍者が好きだからかなあ……。アニメも含め、海外に広まればいいと思ってやっていましたが、ここまで認知していただけるとは予想外でした。

 ――5年ぶりの新作『サムライ8』は、侍になろうとする少年が主人公です。

 最初は『NARUTO』とまったく別の方向性にしようと思っていました。でも、読者はそれを求めているのかなと。やっぱり日本人が理解しやすい世界がいいんじゃないかと思い直しました。

 僕自身、侍が好きなんです。幼い頃から祖父母と一緒に時代劇ドラマの「必殺仕事人」や「大江戸捜査網」を見ていました。侍は行動で示す人。やせがまんして忠や義を貫くイメージ。僕はすぐ弱音を吐くので、男らしい男にあこがれるのかもしれません。

 それと「スター・ウォーズ」などのSF映画も大好きなので、両方混ぜてしまおうと。SFは読者に説明することが多くて難しいんですが、そこで侍という存在を使えば、わかりやすくできると気づいたんです。

彼の絵は温かい

岸本さんが描いた第1話のネームの一部。細かい設定まで描き込まれている (c)岸本斉史・大久保彰/集英社
岸本さんが描いた第1話のネームの一部。細かい設定まで描き込まれている (c)岸本斉史・大久保彰/集英社
岸本さんが描いた第1話のネームの一部。細かい設定まで描き込まれている (c)岸本斉史・大久保彰/集英社
岸本さんが描いた第1話のネームの一部。細かい設定まで描き込まれている (c)岸本斉史・大久保彰/集英社
こちらはペン入れ前の原稿用紙の下書き(c)岸本斉史・大久保彰/集英社
こちらはペン入れ前の原稿用紙の下書き(c)岸本斉史・大久保彰/集英社

 ――作画担当は新人の大久保彰さん。どのように役割分担していますか。

 原作の僕が、絵の構図や吹き出しのセリフ、コマ割りの設計図である「ネーム」をまず描いています。

 作画に大久保君を起用したのは、誰よりも僕が彼の絵でこのマンガを読みたいから。僕のアシスタントを9年間務めてくれましたが、絵が優しくて温かい。彼という才能を世に出したいがために、この連載を考えたと言ってもいいくらいです。大久保君の絵はもう僕を超えてますよ。こうして若い世代に追い抜かれていくことで、僕自身も成長できるのかなと思います。

 ――『サムライ8』の主人公、八丸は、元気なナルトと違って虚弱体質です。

 僕も小さい頃、体が細くて弱かった。アレルギー体質の子どもも増えているし、そんな子たちにも共感してもらいたかった。完璧な主人公だと、感情移入できなくて描けない。コンプレックスを抱えた子が頑張る姿を描くことが、僕にとって一番楽しいんです。

子ども励ましたい

 ――『NARUTO』では、様々な家族の絆が描かれました。『サムライ8』でも、父と子の強い結びつきが描かれています。

 僕自身が理想の親子を描きたいからです。『NARUTO』の連載を始めた時は24歳でしたが、今は44歳で父親になり、子供と親、両方の気持ちがわかるようになりました。自分の少年の頃を思い出しながら八丸の気持ちを描いています。

 ――今の子どもたちに作品で何を伝えたいですか。

 説教くさくなるので、あまりテーマ的なものを押し出す気はありません。読者にはそれぞれ自由に感じてほしい。ただ、僕が子どもの頃と違って、今の子どもたちはあまり明るい未来をイメージできないのかもしれないとは思います。『サムライ8』でそんな子どもたちを励ましてあげられればいいなと思っています。

     ◇

 『NARUTO―ナルト―』

 1999年9月から2014年11月まで「週刊少年ジャンプ」(集英社)で連載。木ノ葉隠れの里に暮らす忍者の少年うずまきナルトが、仲間のうちはサスケ、春野サクラらと数々の試練を乗り越えながら、里一番の忍者の称号「火影ほかげ」を目指す。奇想天外なアクションと個性あふれるキャラクターたちの群像劇が大きな魅力。最後は宿命に打ち勝つ友情の絆を熱く描き、平成を代表する少年マンガのひとつになった。

 ジャンプコミックス全72巻。国内での単行本累計発行部数は1億5300万部以上、海外では46以上の国と地域で累計9700万部以上発行されている。テレビアニメや舞台、歌舞伎にもなり、その人気は現在も広がり続けている。

     ◇

 『サムライ8 八丸伝』

 独特の機械文明を持つ異世界。巨大な生命維持装置につながれた少年、八丸はゲーム三昧の日々を送りながら父親と2人で暮らしていた。この世界には人間の武士と、その上級であるサイボーグ化された侍が存在する。猫の姿をした侍、ダルマが八丸の元に現れ、八丸の運命が大きく変わる。

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564912 0 エンタメ・文化 2019/05/03 05:00:00 2019/05/03 10:49:57 2019/05/03 10:49:57 ナルト(左)が八丸を「口寄せの術」で呼び出す (c)岸本斉史・大久保彰/集英社 https://www.yomiuri.co.jp/media/2019/05/20190502-OYT1I50040-T.jpg?type=thumbnail

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