日本人 鎌倉時代が最も短命…戦乱・災害の影響か

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聖マリ医大など研究 15~34歳で死亡5割

若年の中世人骨(長岡准教授提供)
若年の中世人骨(長岡准教授提供)

 中世の日本人は、他の時代に比べて短命だった可能性が高いことが、聖マリアンナ医科大の長岡朋人准教授(形質人類学)らのグループの研究でわかった。短命のピークは、中世前期の鎌倉時代にあたる12~14世紀頃とみられ、弥生時代や戦国時代に比べても短命なことがわかった。

 長岡准教授らは、弥生時代から江戸時代までの各地の遺跡から出土した人骨810体を調べ、骨盤の関節にある「腸骨耳状面」と呼ばれる部分を分析した。腸骨耳状面は、若いうちは滑らかだが、加齢とともにトゲ状の突起や穴が増える特徴があるため、死亡年齢を推定する有力な根拠になるという。分析には統計的手法も使い、子供は除き、死者の年齢を「若年」(15~34歳)、「中年」(35~54歳)、「老年」(55歳以上)に分類して構成を調べた。

 その結果、弥生時代(紀元前5~後3世紀)は、「若年」は2割程度で「中年」が3割程度、江戸時代前期(17世紀)は「若年」が3割程度、「中年」も3割程度だった。

 これに対して、中世前期(12~14世紀)は、「若年」が5割程度を占め、「中年」が3割程度で、約8割もの人が「老年」を迎えることなく死亡していたことがわかった。

 今回用いた中世人骨は、由比ガ浜中世集団墓地遺跡など、人骨が大量出土した神奈川県鎌倉市内の遺跡に限られるが、長岡准教授は、「男女比や年齢構成に大きな偏りはなく、当時の一般的な死亡年齢構成を反映しているとみていい」と話す。

 同じ鎌倉市の遺跡でも中世後期(16世紀)になると、「若年」の死者は約3割に下がる。1440~1730年頃には、地球規模での寒冷化が起きていたことがわかっているが、今回の分析では、寒冷化のピークと短命化のピークは一致しないことがわかった。

 長岡准教授は、「13世紀には大きな地震も起きており、戦乱や自然災害の影響で短命化が進む危機的な状況があったのではないか」と結論付ける。その後の自然環境も厳しく、寒冷化は日本人の健康に悪影響を与えたことが古人骨の研究でわかっているが、「都市の衛生環境改善や農耕技術の発展による食糧増産で死亡年齢が上がった可能性が高い」と分析する。

 今回の分析では、東京の江戸前期の遺跡より、山梨の江戸後期の遺跡のほうが、出土人骨は長命の傾向にあることなどもわかった。今後、さらに地域や時代ごとの分析例が増えれば、環境が寿命に与える影響がよりはっきりと見えてくるかもしれない。(文化部 清岡央)

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620238 0 エンタメ・文化 2019/06/05 05:00:00 2019/06/14 17:42:07 2019/06/14 17:42:07 https://www.yomiuri.co.jp/media/2019/06/20190604-OYT8I50116-T.jpg?type=thumbnail

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