幻の手塚漫画「ロマンス島」初刊行へ…17歳時の華麗なタッチ再現

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「ロマンス島」より。薄墨で「ぼかし」を入れた背景が美しい。このために74年前は出版できなかった(C)手塚プロダクション
「ロマンス島」より。薄墨で「ぼかし」を入れた背景が美しい。このために74年前は出版できなかった(C)手塚プロダクション

 マンガ家の手塚治虫(1928~89年)が、1947年のデビュー単行本「新宝島」の直前に描いていた未発表長編「ロマンスとう」が初めて一般向けに刊行される。当時の技術では印刷できず、お蔵入りになった幻の作品。74年を経て、“マンガの神様”が17歳の時の華麗なペンタッチがよみがえる。

 「ロマンス島」は、2人の少年が背中に羽を持つ虫人間のリリーン男爵とパピリオ姫に出会い、「はねの島」の王国をめぐる陰謀に立ち向かう冒険ファンタジー。全編に薄墨のタッチがつけられ、アニメ映画的な奥行きのある画面とスピーディーな展開が魅力的だ。

手塚治虫
手塚治虫

 手塚は大阪大医学専門部在学中の46年1月に4コマ新聞連載でデビュー。日記によると、「ロマンス島」は同年8月ごろ描かれ、大阪の貸本出版社が興味を示したが、当時の印刷技術では薄墨の表現が出せずに刊行できなかった。マンガ家の酒井七馬しちまとの合作「新宝島」はその後に描かれ、47年1月に刊行されて40万部のベストセラーになった。

 「『ロマンス島』が先に刊行されていたら、『新宝島』より早くマンガ史を書き換えていた可能性がある」と、今回編集に当たった濱田高志たかゆきさんは指摘する。

「ロマンス島」より(C)手塚プロダクション
「ロマンス島」より(C)手塚プロダクション
「ロマンス島」より(C)手塚プロダクション
「ロマンス島」より(C)手塚プロダクション

 当時の貸本向け単行本は「描き版」と呼ばれ、職人が原画をトレースしたものを製版していた。その際ほとんどの原画が紛失しているが、未刊行の「ロマンス島」は、冒頭の導入部などが欠落しているものの、結末まで描かれた約90ページ分の原画が手塚プロダクションに残っており、手塚のペンの線がそのまま見られるのが貴重だ。造本と本文デザインを手がけたブックデザイナーの祖父江慎そぶえしんさんは「最新のデジタル技術を使い、可能な限り原画のニュアンスに近づけた」と自信を見せる。

 「ロマンス島」は2013年、講談社の「手塚治虫文庫全集」の全巻購入者特典として約800部作られたが、市販されるのは今回初めて。「手塚治虫新聞漫画集成『マアチャンの日記帳』」との2冊組みで、888ハチミツブックスから3月に刊行予定。手塚の命日にあたる9日から同社の特設サイト(https://to-earlyworks.com)で予約を受け付ける。本体価格2万円。

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1040052 0 エンタメ・文化 2020/02/06 14:25:00 2020/02/06 17:20:49 2020/02/06 17:20:49 エトキ別送 https://www.yomiuri.co.jp/media/2020/02/20200206-OYT1I50043-T.jpg?type=thumbnail

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