[「読む」は今]電子書籍 急激な浸透 コロナで顕在化…植村八潮

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 新型コロナウイルス蔓延まんえん後の世界を表す「ポストコロナ」という言葉を、よく聞くようになりました。対面を避けて人とコミュニケーションを取り、学習機会を確保するため、学校の授業など、生活の様々な場面でオンラインが活用されています。本と読書の世界も例外ではありません。

 注目は、公共図書館での電子書籍貸出サービスです。「図書館流通センター」の発表では、4月の電子書籍貸出実績が対前年同月比423%と大きく伸びました。今回のコロナの問題で図書館の臨時休館が続く中、自宅で借りられる電子書籍に光が当たったのです。米国と比べ、日本ではこのサービスの導入館も貸し出し点数も少なかったことを思えば驚くべき出来事です。

 ただ単に、コロナ禍がデジタルコンテンツの利用を促したのではなく、すでに利用拡大の素地が整っていたところに、今回の出来事が重なったと考えた方が良いでしょう。

 市場拡大のモデルとしてよく言われる理論ですが、まず、先進的な人たちが新技術を使って新しいビジネスを起こし、次にその便利さに気づいた消費者たちが積極的に利用して生活スタイルを変えていきます。最後にこれまでの習慣を変えることを躊躇ちゅうちょしていた人々が大きく動くことで、市場の爆発的拡大が起こります。

 現在は、電子書籍の数も増え、図書館での利用サービスも広がっています。一部の熱心な人から、誰もが普通に使う時代への大きな転換点かもしれません。

 大手出版社の収益構造も変わりつつあります。小学館が5月に発表した昨年3月から今年2月までの決算報告によると、雑誌やコミックス、書籍などの出版売り上げが前期比91・2%の497億1000万円。これに対し、同121・1%と大幅増のデジタル収入が248億5000万円、デジタル広告の伸びの影響があると見られる広告収入が107億2000万円、人気漫画「ドラえもん」をはじめとする版権収入などが124億5000万円と堅調でした。出版社は、すでに紙の出版物だけでなく、電子コミックや版権収入などを含め、多角的な収益構造になっています。

 気がつけば、利用者にも出版社にも電子書籍が深く浸透している時代なのです。(専修大教授・出版学)

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1279120 0 エンタメ・文化 2020/06/16 05:00:00 2020/11/20 19:17:30 2020/11/20 19:17:30

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