舞台が消えた…井上芳雄、20周年の模索

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■STORY 井上芳雄<1>

読売新聞文化部 小間井藍子

 「ミュージカル界のプリンス」と呼ばれてきた俳優、井上芳雄は、デビュー20周年の今年を鮮やかに駆け抜けるつもりだった。だが、コロナ禍でエンタメ界が苦境にあえぐ今、「強制的に立ち止まらされたけれど、かえって良かったかもしれない」と語る。彼はなぜ、そのように語るのか。今、何を目指しているのか――。

めっちゃくちゃ忙しい年になるはずだった

 「めっちゃくちゃ忙しい年にするつもりだったんです」

 舞台を降りたときの井上は、礼儀正しく、素直に胸の内を語る。今年は、大作に次々と出演する予定だったと打ち明ける。

20周年を迎えた井上芳雄。新たな試みを模索する日々が始まった(2020年6月、米田育広撮影
20周年を迎えた井上芳雄。新たな試みを模索する日々が始まった(2020年6月、米田育広撮影

 快調に1月を走り出した。1980年代の名作を現代によみがえらせたミュージカル「シャボン玉とんだ宇宙ソラまでとんだ」に主演した。時間と空間を超えたラブストーリーで、暗い過去を持つ女性を支える作曲家を熱く演じた。

 4月には、鬼才の劇作家、演出家ケラリーノ・サンドロヴィッチ(KERA)が手掛けるせりふ劇「桜の園」に挑むはずだった。KERAが取り組んできたチェーホフ4大戯曲のシリーズ最終作で、出演者は大竹しのぶや宮沢りえなど、華やかな俳優がそろっていた。「びっくりするくらいの豪華メンツ。でも、全員きちんと稽古に来ていました。真摯しんしに」

 「桜の園」は19世紀末、ロシアの没落貴族の屋敷を舞台とした群像劇。そこで井上はあえて、さえない万年学生役に挑む予定だった。

 KERA演出作品に出るのは2017年の「陥没」に続き2回目だ。当時、KERAは井上ひさし作「イーハトーボの劇列車」で宮沢賢治を演じる井上を見て、「生活感があるところがいい」と抜擢ばってきした。その流れを受けた起用だった。「KERAさんは、ミュージカルじゃない僕を気に入ってくれた。稀有けうな人です」

 稽古中、KERAは「ストレートプレイにおける彼の芝居が大好きだ」とSNSでつぶやいた。「僕は歌ってなんぼの人、だと思っていて、せりふ劇には自信がない。それをこんなに褒めてくれる人がいるなんて」。期待に応えたいとやる気をみなぎらせていた。

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<お知らせ>井上さんの記事集発行へ

 読売新聞は、井上芳雄さんに関わる記事を一冊にまとめた「読売新聞が報じた井上芳雄の20年」を8月下旬に発行します。インタビュー記事、出演作品の公演評など、約200本の記事を収録する予定です。

 価格は、2000円(税込み)。先行予約を、井上さんのオフィシャルファンクラブで20日まで受け付け。販売方法は後日、お知らせします。読売新聞オンライン「よみぽランド」のページで、プレゼント企画も実施します。

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1318402 0 エンタメ・文化 2020/07/04 05:00:00 2020/07/07 10:35:05 2020/07/07 10:35:05 芸能生活20周年を迎えた俳優の井上芳雄さん。東京都千代田区で。2020年6月10日撮影。 https://www.yomiuri.co.jp/media/2020/07/20200703-OYT8I50076-T.jpg?type=thumbnail

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