つらかった「接触者リストの作成」…コロナ闘病のリアル、地獄のような苦しみを漫画に

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 新型コロナウイルスに感染すると、どんなことが起きるのか。国内の感染者の累計は10万人を超えたが、その経験が詳しく語られる機会は少ない。差別や偏見を心配する人もいる中、自身の実名を明かし、リアルな体験を漫画にしてネットで公開する男性がいる。伝えたいのは「人間関係まで壊しかねない恐ろしさ」だという。(大川哲拓)

友人が協力

感染した体験を漫画にして公開した宮原さん
感染した体験を漫画にして公開した宮原さん

 京都府京田辺市の手話通訳士、宮原二三弥ふみやさん(30)。8月に感染後、SNSで経験を発信したところ、友人の漫画家、青柳恵太さん(29)らから「より多くの人に伝わるのでは」と漫画化を提案され、制作してもらった。

 <この状態で運転はキツイなぁ……>

 <自宅(待機)ですか!? 妊娠してる妻がいるんです!!>

電話した知人から、保健所に接触者として伝えないよう求められる場面
電話した知人から、保健所に接触者として伝えないよう求められる場面

 漫画は、39度近い熱が出て、陽性が判明するまでの戸惑いから始まる。保健所から、病院には車で行くように言われ、医師からは自宅待機を指示されるが、当時、妻は臨月で「うつしてしまったらと思うと気が気でなかった」と振り返る。

様々な苦痛

医師から検査結果が出るまで自宅で待機するよう言われ、戸惑う場面
医師から検査結果が出るまで自宅で待機するよう言われ、戸惑う場面

 入院生活は12日間に及んだ。倦怠けんたい感や呼吸困難、下痢、味覚障害……。日替わりで様々な苦痛に襲われる状況を、<ある日はジャブ、ある日はストレート、ある日はボディーブローをらう感じです><本当に地獄でした>と描写した。

 さらにつらかったのが、保健所から求められた接触者リストの作成だったという。直近に会ったのは約30人。一人ひとりの名前、連絡先、職業、基礎疾患などを記して保健所に提出する必要があった。病床から電話して感染を伝えたが、こう言って嫌がる知人もいた。

 <保健所に連絡されたら濃厚接触者扱いでしょ?>

 やり取りを再現した場面では、自宅待機で仕事ができなくなって収入が途絶えることを懸念した知人から、「会っていないことにしてほしい」と求められる。

 この知人は最終的に周囲に説得されて協力したが、宮原さんは気まずくなって連絡を取らなくなり、交流は全くなくなった。

 「仲がいいと思っていた人との関係が崩れたのがショックだった。迷惑をかけてしまって申し訳ない気持ちになった」という宮原さんは、深く悩んだという。

 もし自分が相手の立場ならどうだろうか。同じように困るかもしれない。いや、それでも隠すことは間違っているのではないか……。そんな葛藤も漫画に盛り込み、「あなたならどうしますか?」と問いかけた。

手話動画も

 タイトルは、宮原さんのあだ名からとった「あんくんの新型コロナ奮闘記」で、9月からウェブサイトで公開。検索すると誰でも無料で閲覧でき、宮原さんのナレーションと手話通訳を付けた動画もある。

 見た人からは「感染予防も大事だが、かかってしまった時の行動や、感染者への接し方など、いろいろ考えさせられた」など好意的な反応が多いという。

 漫画を描いた青柳さんは「ニュースだけではわからない患者の苦しみや悩みが伝われば」と話し、宮原さんは「誰もが当事者になる可能性がある。『ただの風邪ではない怖さ』を理解してほしい」と言う。

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1633095 0 エンタメ・文化 2020/11/17 15:44:00 2020/11/17 16:00:30 2020/11/17 16:00:30 感染判明後に連絡した知人から、保健所に申告しないよう迫られる場面 https://www.yomiuri.co.jp/media/2020/11/20201117-OYT1I50055-T.jpg?type=thumbnail

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