「誰、お前?」不良高校生の抗争劇で強烈な印象…綾野剛

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 お前は映画をやれ――。「仮面ライダー555(ファイズ)」の撮影終了後、監督の石田秀範にもらった言葉を胸に、あえて“回り道”を選び歩き出した。

 映画の台本が並ぶ専門図書館に通い詰め、名作とされるホンを片っ端から読んでは、映画を見た。一方で、製作費はなくても、熱量のある撮影現場へ飛び込んでいった。「努力をしていないと、立ち止まってしまいそうで」。ギャラが幕の内弁当一つでも気にしなかった。

 中学、高校と陸上競技に打ち込み、まともに働いた経験もない。「よくわかっていなかったし。世の中や社会のこと。もちろん映画のことも」。30歳になったとき、役者としてメシを食えていればそれでいい。覚悟を決めた。

 20代後半には、青春映画「奈緒子」(古厩ふるまや智之監督)など、作家性の強い作品の脇役や端役に、名を連ねるようになった。

綾野が演じた漆原(右から2人目)は不気味さを漂わせる クローズZERO2 スペシャル・プライス 価格 DVD1500円、Blu‐ray2000円(税抜き) 販売元 ハピネット(c)2009 高橋ヒロシ/「クローズZERO2」製作委員会
綾野が演じた漆原(右から2人目)は不気味さを漂わせる クローズZERO2 スペシャル・プライス 価格 DVD1500円、Blu‐ray2000円(税抜き) 販売元 ハピネット(c)2009 高橋ヒロシ/「クローズZERO2」製作委員会

 2009年。思い描いていた「30歳」より少し早く、大きなチャンスが訪れた。07年に公開され、25億円の興行収入を記録した不良高校生の抗争劇「クローズZERO」。その続編への出演話が舞い込んだのだ。

 監督は、話題作を次々世に送り出す三池崇史。人気爆発中の小栗旬が主人公の滝谷源治を演じ、山田孝之や桐谷健太ら実力派が競演する。続編の見どころは、ライバル校同士の生徒500人が入り乱れる大乱闘シーンで、新たに金子ノブアキらがキャスティングされた。

 全ての役が決まった後に綾野を知ったプロデューサーが、クランクインまでの3日間で台本を書き直させ、もう一つ役を作った――。そんなエピソードも、語り草になっている。

 思いがけない出演に、「まだ早い」と焦った。「でも、大きな作品で潔く観客のジャッジを受けようと決めた。拍手されるか、無視されるか」

 演じた漆原凌は、いつも一人だけ傘を差し、はかなげな風情を感じさせる青年。だが、タイマンとなると凶暴さをあらわにし、長髪を振り乱して相手に膝蹴りをくらわす。

 クライマックス。山田が演じる芹沢と1対1の格闘シーン。突然目の前に立ちはだかった漆原に、芹沢はけげんな顔をする。<誰、お前?>

 セリフは少なく、DVDのジャケットにも姿はない。が、「この俳優は誰だろう」と思わせる、強烈な印象を見た者に残した。

 そしてこの後、綾野はテレビドラマでも存在感を発揮していく。(山田恵美)

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1643525 0 エンタメ・文化 2020/11/21 10:59:00 2020/11/21 10:59:00 2020/11/21 10:59:00 キャプション別送り https://www.yomiuri.co.jp/media/2020/11/20201117-OYT1I50058-T.jpg?type=thumbnail

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