図書館の本、紙のコピーだけでなく「ネットにも送信」…出版界への波紋

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議論の行方を報じた読売新聞朝刊(11月15日)
議論の行方を報じた読売新聞朝刊(11月15日)

 「図書館の蔵書や資料をデジタル化し、インターネットで直接、利用者に送信できるようにするべきだ」とした報告書を、文化庁の文化審議会のワーキングチーム(WT)が11月13日にまとめた。文化庁は来年の通常国会に著作権法の改正案を提出する予定だ。これに対し、出版界は「著者らの権利を侵し、活字文化の衰退につながる」と反発し、具体的な運用方法を示すことなく議論が進んだことにも不安を募らせる。背景と課題を探った。(文化部 川床弥生、待田晋哉)

法改正へ…新型コロナで動きが加速

 文化庁著作権課の担当者は「図書館の蔵書のネット送信は、10年ほど前からある議論だ」と説明する。その動きが今、加速したのは、新型コロナウイルスの感染が拡大し、多くの図書館が休館したからだ。政府の知的財産戦略本部が5月に策定した「知的財産推進計画」にも、「図書館蔵書のデジタル化・ネットワーク化に向け、年度内の法改正案を提出する」ことなどの目標が設定された。

 若手研究者らから「図書館で本が借りられず、研究に影響がある」との声が上がったことも、文化庁の背中を押した。

 そこで文化庁は8月、文化審議会の下に著作権に詳しい大学教授や弁護士などで作るワーキングチームを設置した。チームは11月までに5回の会合を開き、報告書をまとめた。

 現在、図書館の蔵書は著作権法により、調査研究目的に限り、「一部分」を紙でコピーすることができる。「一部分」とは、1976年の著作権審議会小委員会で「少なくとも半分を超えないものを意味する」とされ、各図書館も「著作物の半分まで」として運用している。ただし、「半分まで」コピーはできても、ネット送信までは認めていない。

 報告書は法改正にあたり、「調査研究目的」「一部分」の制限は原則的に変えないものの、デジタルコピーのメール送信や、ID・パスワードを付与した上でのサーバーからのダウンロードなどを認める――と明記した。出版社や著作権者は影響を受ける恐れがあるため、図書館側が「補償金」を支払う。ただ、実際の補償金の負担は、サービス利用者に転嫁される場合が多いと考えられるとした。

 日本図書館協会は「新たな図書館サービスの可能性を開く、重要な取り組みだ」と歓迎している。

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1642132 0 エンタメ・文化 2020/11/20 18:10:00 2020/11/20 19:40:13 2020/11/20 19:40:13 https://www.yomiuri.co.jp/media/2020/11/20201120-OYT1I50051-T.jpg?type=thumbnail

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