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「ゲロ」から始まる歌手生活、ついに武道館に到達…「日本元気女歌手」と呼ばれる天才

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 アイドルグループ出身で、作詞作曲から編曲まで手がけて歌う、眉村ちあきさん。高い歌唱力や自由奔放な言動が注目されています。新型コロナウイルスが猛威をふるった今年も、積極果敢な活動にブレーキはなし。1月に出したアルバムに続き、早くも今月9日に3作目の新アルバムを発売しました。タイトルは、中国のサイトで彼女を説明する簡潔な7文字を借用し、「日本元気女歌手」。明るさ全開の彼女に迫りました。(清川仁)

「ゴッドタン」からの快進撃

 ♪ゲロ~それは~体の中から出てくるもの~♪

 2018年6月、テレビ東京の人気番組「ゴッドタン」で披露した即興のギター弾き語りが、快進撃の始まりでした。眉村さんは、その場で示された「ゲロ」というムチャなお題に顔色一つ変えずに歌い出し、「明日もゆく 仕事にゆく この塊があなたの生き様でありますように」と、社会人の悲哀をにじませた歌詞で熱唱したのです。圧倒される番組レギュラーの芸人たち。おぎやはぎの小木博明さんは、「よく、(森山)直太朗に即興でやらせるんだけど、それより全然いいわ!」。

眉村ちあきさん=高橋美帆撮影
眉村ちあきさん=高橋美帆撮影

 この番組の放送後、レコード会社「トイズファクトリー」から声がかかり、メジャーデビュー。今年は春、米国のイベントに招かれ、秋にはゴールデンボンバーや広瀬香美さんと共演。そして、今月14日にはミュージシャン憧れの聖地、日本武道館の舞台に立ちました。

日常なんでも歌にする

 「本当に即興なのって、よく疑われます。え、当たり前じゃんって。でも、全然得意と思っていなかった。普通にしゃべってるのと変わんなくて」

 眉村さんが天才と評されるゆえんはこの辺にあるのかもしれませんが、小さい頃の話を聞くとに落ちます。「ベランダの柵の皮がむけてる(注・さびた塗装のはがれ)のを見て、『あぁ~あなたかわいそうね~』『服がボロボロになってしまって~』とか歌ってました。お使いを頼まれた子供が『おーつかい、おーつかい、とうもろこし~』と歌うのと同じ感覚です。今も鍋を作る時、『まず白菜をドーン、豚肉を入れてドーン』って」

 日常すべてを歌にして、音楽と無邪気に戯れているような眉村さん。聴けば、童心に帰って心が解放される感覚になります。ライブの定番曲「ほめられてる!」もその一つ。「ほめられてる ほめられてるよ みんなのこともほめるよ 大天使トゥーユー」。そう歌い、「今日、一人で渋谷まで来たの? すご~い」「柵から出ないでえらいね~」などと聴衆を褒めまくるのです。からかわれている気もするけれど、面白くてなんだか幸せ。褒めセリフもその場限りの即興ですが、本人いわく「ホントの歌詞、忘れちゃうのいつも」。

会社設立「社長アイドル」

 こんな自由で、ちょっとアバウトな姿勢は、彼女にとって前向きな推進力になってきました。2017年12月に「株式会社会社じゃないもん」を設立し、“社長アイドル”として話題に。これも所属していたアイドルグループが活動休止となり、一人で歌っていくことになった際の知恵です。ファンクラブ会員にあたる「社員」に対しては、「社畜イベント」なるものも開催しました。

メジャーデビュー前のソロ活動の頃(2018年4月)
メジャーデビュー前のソロ活動の頃(2018年4月)

 例えば、音源を収録したCDをケースに入れるなどの作業や店への納品をファンと一緒にし、制作や売れることの喜びを共有するのです。「私にこき使われたいファンがいるなら、それに思いっきり甘えて仕事してもらうイベントにしちゃえばいいじゃんと思って。『社畜のみんな今日は来てくれてありがとう! 今日の仕事はこちら。それじゃあ散れ!』って」。ライブ会場で、客に自分でCDを焼いて包んで持って帰ってもらうという、コンビニのセルフレジの先を行くシステムも行っていたとか。

 献身的なファンに、眉村さんは今も全力で甘えています。今年春、楽曲制作の山ごもり合宿の際は、差し入れだけで生活する企画を打ち出しました。「小鳥が寄ってくる機械とか、忍者の服とかが送られてきました。宇宙食も。どこへ行くって思ったんだろ」。ファンによるネタ合戦になってしまった感もありますが、食べきれないほどの食べ物もしっかり届き、新アルバム収録の3曲もできるなど、一定の成果はあったようです。

常識を痛快に破る

 ファンは、眉村さんの常識を痛快に破るスタイルに魅了されているのでしょう。そして、恐るべき急成長ぶりにも。メジャーデビュー前には、「ポッ!」と歌うだけの数秒間だけの曲があったり、最後に「だめだコレ」とつぶやくミステイクバージョンもCDに収録したりと、未熟さも粗さも包み隠さず披露してきただけに、質の高い近作に触れると驚かされます。

 最新作「日本元気女歌手」の1曲目はなんと、モーツァルトのオペラ「魔笛」の難曲「夜の女王のアリア」。「ライブではうまい人っぽく見せて笑いを誘ってたんですが、楽しくなっちゃって」。見よう見まねのネタのはずが今度は、発声や発音を習っての本気バージョンです。楽曲も、心揺さぶる感動ソングあり、トリッキーなリズムの技巧的な曲ありと、多彩な音楽性を発揮しています。

 「子供のままの心で出来た曲もあって良かったと思うし、少しずつ大人になった分だけちゃんとした曲が作れるようになったところも見せたい。『あの頃の曲めっちゃ子供やん』『この頃の曲、めちゃめちゃデリケートな時だ』って、成長がわかるような音楽を作っていきたいです」

 作品一つ一つが、眉村さんのドキュメンタリーのよう。これからも目が離せません。

     ◇

 まゆむら・ちあき 2015年5月に3人組アイドルとして初ライブを行い、16年からソロ活動を開始。パソコンなどで作ったバックトラック(伴奏)を流しながらギターを弾き語りするスタイルから、「弾き語りトラックメイカーアイドル」と名乗る。19年、メジャー初アルバム「めじゃめじゃもんじゃ」を発売。今月14日、初の日本武道館公演「日本元気女歌手~夢だけど夢じゃなかった~」を開催した。

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1702026 0 エンタメ・文化 2020/12/15 13:32:00 2020/12/15 16:27:18 2020/12/15 16:27:18 シンガー・ソングライターの眉村ちあきさん(19日、東京都渋谷区で)=高橋美帆撮影 https://www.yomiuri.co.jp/media/2020/12/20201212-OYT1I50049-T.jpg?type=thumbnail

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