千葉雄大は本当に「天使系」なのか…普通が嫌で、卑屈にならず虚勢も張らず

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 ドラマ「いいね!光源氏くん」で見せた、現実世界に迷い込む平安貴公子のはまりっぷりが記憶に新しい、千葉雄大さん。来年1月に開幕するミュージカル「ポーの一族」で、主人公エドガーに誘われて吸血鬼となり、共に時空を超える少年アランを演じます。ミュージカルは初挑戦。「これまでの自分を超えていく」。静かに闘志を燃やす千葉さんに会ってきました。

思索的

「ポーの一族」でミュージカルに初挑戦する千葉雄大さん=米田育広撮影
「ポーの一族」でミュージカルに初挑戦する千葉雄大さん=米田育広撮影

 憂いをまとい、じっとカメラを見つめる瞳は、人の血と赤いバラのエキスだけで永遠に生き続ける、孤独な吸血鬼「バンパネラ」そのものだ。

 「ポーの一族」の原作は、萩尾望都さんの同名漫画。エドガーと、彼によって仲間に加えられたアランが、少年のままヨーロッパで長い時をさまよう。純文学のような香気漂うストーリーだ。

 「耽美たんび的なファンタジーとして楽しめる一方、虐げられし者である『バンパネラ』の悲しみや、彼らを迫害する人間の愚かさ、弱さも考えさせる。半世紀前に発表されたとはとても思えない、今日的なお話です」。物語の魅力を熱く語る。

 王子様など非現実的なキャラクターがよく似合う。「天使系」とも称された持ち味は、“永遠の少年”にぴったり――。そう水を向けると、フフッと笑い「どうなんでしょう?」と首をかしげた。

 「それを武器だとは、あんまり思ってないかも。目の前のことに没入していくタイプなので、そういう意味では、少年みたいに純粋……なのかな」。ドラマや映画で見せる、ふんわりとした「かわいい」イメージとは少し違い、落ち着いていて思索的。骨太な言葉を、ゆっくりと口にする。

何かに秀でているわけじゃない

 読者モデルをしていた大学生のとき、芸能事務所にスカウトされた。「就職活動中のごく普通の学生。何かに秀でているわけじゃないし、才能があるわけでもない」。その「普通」が嫌で、「何者かになりたい」と芸能界へ飛び込んだ。

千葉雄大さん
千葉雄大さん

 初めて出演したのは、スーパー戦隊シリーズ「天装戦隊ゴセイジャー」。不思議な力で地球を守る天使、ゴセイレッドことアラタを演じた。「初めてのことばかり。体育会系の現場ですから、しごかれました。『オーディションの方が良かった』ってダメ出しされたり。でも、キツくはなかったな」

 東映の特撮ものを数多く手がけた長石多可男監督からは、撮影が終わった後、「お前は一番かわいかったけど、一番生意気だった」と笑われた。「こんなにお利口にしてたのに!?って、びっくりしました」。だが、頑固なところを見抜かれていたのかもしれない――と今は感じる。

 「お前は、いいところまで行くと思うよ」とも。「内心、『いいとこ』ってどこ?って。でも、うれしくて泣いたんです」

 20代前半、同世代俳優が1歩も2歩も先を行っているように見え、悩んだ時期もあった。「不思議なんですけど、ふとした瞬間に『もう人と比べるのやめよ』って思えた」。卑屈になることも、虚勢を張ることもなくなった。

 デビューから10年過ぎたが、冒険心を忘れない。「失敗しても、どう思われてもいい。僕にとって、どの作品も新境地なんです」。これからも、全力でボーダーを超えていく。

鼻の奥がツンとする感じ

 学生時代、ボブ・フォッシーのブロードウェー・ミュージカルを映画化した「シカゴ」に魅了された。「転がす人、転がされる人。欲望が渦巻く人間模様が刺激的で、『オール・ザット・ジャズ』など、音楽やダンスもかっこいい」。ミュージカル映画に夢中になった。

 以来、「いつかは」と願ってきたミュージカルへの出演がついにかなった。発声など、基礎から歌唱レッスンに取り組んでいるが、専門家には「すごく声がいい」と太鼓判を押された。

千葉雄大さん
千葉雄大さん

 「そんなことないんですよ」とはにかみつつ、「湧いてくる感情をどう歌にのせるか。お芝居として伝えるべきことを、しっかり歌で表現できるようにならないと」と、課題を見すえる。

 稽古場では、共演するミュージカル俳優の歌声にワクワクするという。「自分の出番じゃないときは聞き入ってます。生の歌声の迫力って、鼻の奥がツンとする感じ。ちょっと泣きそうになっちゃう」

 エドガーを演じる明日海りおさんは、宝塚歌劇団の元花組トップスター。在団していた2018年にもエドガーを演じている。

 「時の輪よ めぐりめぐれ 生命のふたたび生まれるまでに」。クライマックスで、終わらぬ旅に出るエドガーとアランがデュエットする「時の輪」を、先日初めて2人で歌った。

 明日海さんに、「(2人の)声がすごく合うと思う」と言われた。「とてもうれしかった。芯の強い、プロフェッショナルな方なので、寄り添っていけたら」

アクティブに動く方ではない

 Q.ハマッていることは?

 A.そうですねぇ、つまらない感じにはなるんですけど、コロナ禍で、当たり前の生活が一番大事だなって痛感しました。ブロードウェーの舞台が見たいとか、したいことは色々とあるんですけど……。

 Q.当たり前の生活とは?

 A.朝起きてご飯を食べて、掃除や洗濯をする。散歩して外の空気を吸って、心地よく疲れて眠りにつく。そういう生活スタイルです。元々、それほどアクティブに動く方ではなくて。結構、家にいる楽しみを見つけるタイプなんです。

 Q.お料理は?

ある日の食事。千葉雄大さんが手作りした=千葉さん提供
ある日の食事。千葉雄大さんが手作りした=千葉さん提供

 A.します、何でも作りますよ。最近よく食べるのは、ルーを使わず、トマトペーストやスパイスで煮込むカレー。あ、こういうと大それた料理みたいですけど、そんなことはないです。あとは、煮物とか焼き魚とか、和食もよく作りますね。

 Q.最近見たり読んだりして、印象に残ったのは?

 A.映画かなぁ。グザヴィエ・ドラン監督の「マティアス&マキシム」は、2人の青年が、互いの胸に秘めた思いに気づいて揺れ動くラブストーリー。あとは、「おジャ魔女どれみ」シリーズの20周年を記念したアニメ映画「魔女見習いをさがして」も。このアニメ、リアルタイムで見ていて大好きだったんですよ。

     ◇

 ちば・ゆうだい 1989年3月9日生まれ。宮城県出身。主な出演作に、ドラマ「黒崎くんの言いなりになんてならない」「家売るオンナ」「盤上の向日葵ひまわり」、映画「帝一の國」「決算!忠臣蔵」など。沖田修一監督の「子供はわかってあげない」が来年公開される。

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1719989 0 エンタメ・文化 2020/12/22 15:52:00 2020/12/22 20:48:56 2020/12/22 20:48:56 https://www.yomiuri.co.jp/media/2020/12/20201221-OYT1I50046-T.jpg?type=thumbnail

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