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健さんに一喝され肉体改造の北大路欣也、憧れの隠居役に「ようやく演じられる年齢に」

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「めちゃくちゃ憧れる」三屋清左衛門

77歳の今も現役の北大路欣也。「何でも聞いてください」と気さくそのものだった
77歳の今も現役の北大路欣也。「何でも聞いてください」と気さくそのものだった

 北大路欣也は、77歳の今も現役中の現役だ。テレビから映画まで、あのギラギラした眼光で存在感を発揮している。そんなエンタメ界の重鎮が「ようやく演じられる年齢になった」と感慨深げに語る作品がある。CS放送の時代劇専門チャンネルのオリジナル時代劇として2016年から演じ続ける「三屋清左衛門残日録」シリーズの主人公・清左衛門役だ。原作は、隠居した元用人の穏やかな日々に起こるさざ波を描いた藤沢周平の同名小説。年頭にあたり、自らの俳優人生を振り返りつつ、「足下にも及ばない、めちゃくちゃ憧れる人物」と評する役どころを語った。

 1943年、京都市出身の北大路は、56年の映画「父子鷹」でデビュー。同作では、「旗本退屈男」シリーズなどで知られる往年の時代劇スターで父親の市川右太衛門と親子役で共演した。その後、キャリアを重ね、77年には、「アラスカ物語」「八甲田山」の演技が評価されて第1回日本アカデミー賞優秀主演男優賞に選出。テレビでは時代劇から現代劇まで多彩に演じ分け、近年はテレビ東京系「三匹のおっさん」シリーズ、テレビ朝日系「刑事7人」シリーズなどで活躍している。

 「市川右太衛門の息子だってだけで、なんの努力もしないでデビューさせてもらって本当に恵まれていた。素晴らしい先人たちとの出会いに支えられて今がある。ようやく自分の中で実感として受け止められるようになった」

 しみじみ語りだした北大路は、3人の名優の思い出になると話がとまらなくなった。

真冬に「海行くぞ!」、錦之助に仰天

 デビュー当初、師と仰いだのが中村錦之助(萬屋(よろずや)錦之介)だ。

映画「徳川家康」では、家康役(左)に挑み、中村錦之助(右)が織田信長を演じた(C)東映
映画「徳川家康」では、家康役(左)に挑み、中村錦之助(右)が織田信長を演じた(C)東映

 「初めて錦兄(きんニイ)にあいさつした時、本名を聞かれ、『浅井将勝(まさかつ)です』って言ったら、『おぅ、マサカツか』って。後はずっとマサカツって呼ばれて。ちょんまげとか着物のこととか、錦兄が何でも教えてくれた。祇園にも連れて行ってもらっていろんなことを教わった」

 プライベートでの付き合いも濃く、錦之助の豪快な一面も明かす。

 「錦兄は冷房が大好きでね、ギンギンにかけて素っ裸で寝ちゃうんだよ。こっちはそんなところじゃ、寒くて寝られやしない。だから錦兄がいびきかいて寝入ったところで別の部屋に移って、朝方また戻って来て寝たふりするのさ」

 冷房をかけなくてもいい真冬も仰天させられた。

 「おい、海に行くぞ」

 海辺に近い錦之助の家に泊めてもらった時、早朝、いきなり海に連れて行かれた。

 「勘弁してくれって思っていたら、ほんとに海に入ってしまった。冷たい水には慣れているんだよ、錦兄は。朝、サウナに入って水浴びするのが習慣だったから。それで酒が抜けるって論法さ。抜けやしないのに『抜けた』って言ってまた仕事に行く」

 「八甲田山」などで共演した高倉健とのエピソードは、高倉のストイックな人となりを表している。

 「健さんは、ぼくが酒ばっかり飲んでいるのをよく見ていてね。ある朝、『待ってるから、今すぐ来い』って電話がかかってきた。それが都内のアスレチッククラブ。二日酔いの頭を抱えて行ったら、ものすごいトレーニングが始まって散々な目に遭った」

 そこで衆人環視の中、北大路は一喝された。

 <おまえ、職業は何だ?>

 <俳優です……>

 <そんな体で役者ができるか!!>

 「もうこてんぱんにやられてね。周りの人が止めに入ってくれたけど、健さんは許してくれなかった。本格的に体を鍛えたのは、それがきっかけ。少しずつ心を入れ替えていった」

 健康管理では、父・右太衛門の晩年の様子を明かしてくれた。

デビュー映画「父子鷹」の北大路(左)。父・市川右太衛門(右)と親子役で共演した(C)東映
デビュー映画「父子鷹」の北大路(左)。父・市川右太衛門(右)と親子役で共演した(C)東映

 「還暦を過ぎた頃から、父は仕事からかなり遠ざかったんですよ。その時、いったい何をしているのかと思ったら、毎日歩いていた。仕事があってもなくても、まるで自分の使命のように歩いていた。だから米寿の時にも舞台で踊れた。努力の賜物だし、そういう“元気”を家族にも与えてくれた」

 そんな父だが、妻にはわがままを言っていたという。

 「わがままを通せるのは、いいことだと思いますよ。それが言えなくなったら厳しいでしょう。まあ、ぼくなんて昔のやんちゃ坊主のまんまですけどね」

 その点では父の後を追いかけているらしい。

時代劇は「無理してでも作り続ける使命がある」

 自ら老境に入り「今演じるのが一番いいタイミング」と話すのが、「三屋清左衛門残日録」の清左衛門役だ。東北の小藩で用人を務めた清左衛門は、先代藩主の死去に伴い、隠居生活に。しかし、町奉行の佐伯熊太(伊東四朗)から様々な“事件”を耳にするうちに、世話好きの血が騒ぎ、解決に奔走する。16年の同名第1作以降、第2作「完結篇」、第3作「三十年ぶりの再会」、第4作「新たなしあわせ」と計4作が制作され、BSフジや時代劇専門チャンネルで放送されてきた。

よく気のつく義理の娘(右、優香)など配役の妙も楽しめる 第1作「三屋清左衛門残日録」より(C)2016時代劇専門チャンネル/BSフジ/東映 藤沢周平(R)
よく気のつく義理の娘(右、優香)など配役の妙も楽しめる 第1作「三屋清左衛門残日録」より(C)2016時代劇専門チャンネル/BSフジ/東映 藤沢周平(R)

 役を得た時、北大路は「よし、やった!」と大喜びした。

 「こんな素敵(すてき)な老境に入れる人って世界中にいるだろうか。自分の務めをしっかり果たした後、すっと身を引き、求められない限り、自分からは前に出ない。何とも言えない気品に満ち、優しく(りん)とした清左衛門さん。現代を生きる人間にとっても、ものすごく参考になる。原点に返ることができるような作品」

 原作の世界観に抱かれながら自然体で演じることができたという。

 「役者って役を体現できる喜びとともに、それをどうすればよりよく伝わるかを自問自答しなきゃいけない。大きな責任がある」と語る北大路。エンタメ界で陰りを見せている時代劇の行く末も案じる。

「清左衛門役は、これまでいくつもの役を演じてきたことの成果かな」と北大路は振り返る 第3作「三屋清左衛門残日録 三十年ぶりの再会」より(C)2018時代劇専門チャンネル/BSフジ/東映 藤沢周平(R)
「清左衛門役は、これまでいくつもの役を演じてきたことの成果かな」と北大路は振り返る 第3作「三屋清左衛門残日録 三十年ぶりの再会」より(C)2018時代劇専門チャンネル/BSフジ/東映 藤沢周平(R)

 「先人が築いた宝の山を子供の頃から見て育ってきた。だからそれを作り続けるのは、この仕事に就いた者の使命。少し無理をしてでも先人の後を追いかけ、教えてもらったものを再生していかないと」

 北大路は、気持ちを新たに胸に誓っている。

 「三屋清左衛門残日録」は、時代劇専門チャンネルがオリジナル時代劇10周年記念企画の2月編として、同6日から全4作を毎週放送。いずれも土曜午後7時から。ほかに同チャンネルでは、「北大路欣也映画祭」として、3月6日から、錦之助と共演の「次郎長と小天狗 殴り込み甲州路」(1962年)、「徳川家康」(65年)、さらに「父子鷹」などを放送する。

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1741394 0 エンタメ・文化 2021/01/01 09:17:00 2021/01/01 09:17:00 2021/01/01 09:17:00 https://www.yomiuri.co.jp/media/2020/12/20201228-OYT1I50070-T.jpg?type=thumbnail

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