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小栗康平が役所広司に言った「3倍の時間かけて」…「行間の物語」作り上げる醍醐味知る

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<STORY3>

 過日イタリアに旅行した時のこと。山の上の小さな売店で、年配の女性が自分のことをジロジロと見ていた。

 「日本人が珍しいのかな、と思ったら、『Shall we ダンス?』って。こんなところにも見ている人がいるんだ、と思いましたね」

 映画の力を身をもって知った。

 今でこそ日本を代表する映画俳優だが、舞台出身で、まずはテレビで注目された。

 1983年、NHKの大河ドラマ「徳川家康」の織田信長役で脚光を浴び、翌年スタートのNHKの時代劇「宮本武蔵」の主役に抜てきされた。87年に始まったテレビ朝日系の時代劇「三匹が斬る!」シリーズでは、豪快な浪人役で人気を集めた。80年代、日本映画は低迷期で、映画へのこだわりはあまりなかった。

役所広司の演技に大きな影響を与えた映画「眠る男」のワンシーン(小栗康平事務所提供)
役所広司の演技に大きな影響を与えた映画「眠る男」のワンシーン(小栗康平事務所提供)

 転機となったのは95年公開の「KAMIKAZE TAXI」(原田眞人監督)。チンピラの逃亡を助けるペルー育ちの日系人を演じ、毎日映画コンクールで男優主演賞を受賞。「評価してもらって、すごくうれしかったんですね」。映画に恩返ししたい、という思いが芽生えた。

 「映画をやっていきなさいよ」。背中を押してくれたのは、96年公開の「眠る男」の小栗康平監督だった。山あいの小さな町で暮らす人たちの日常をつづったドラマ。小栗監督の映画の作り方は独特だった。

 例えば、独り暮らしの老いた女性と会話するシーン。台本は1~2ページ。リハーサルをすると、あっという間に芝居が終わってしまった。しかし、山や道路など背景をじっくり見せたいという理由から、「3倍ぐらい時間かけてやってくれ」と指示が出た。

 「後は行間をどう延ばしていくか。セリフとセリフの間に何を考えているのか、自分で物語を作っていかなきゃいけない。その作業が、すごく勉強になったんです。自分自身に“間”を持たせる、『これが芝居の作り方なんだな』と実感しましたね」

 96年は「眠る男」のほか、社交ダンスにのめり込む中年男を演じた「Shall we ダンス?」(周防正行監督)、破滅的なヤクザを演じた「シャブ極道」(細野辰興監督)が公開され、タイプの異なる三つの作品で次々映画賞を獲得。40歳で、開花した。

 冒頭のイタリアでのエピソードと似た経験は他にもあった。97年に「うなぎ」(今村昌平監督)でフランスのカンヌ国際映画祭に参加した時のこと。どこで見たのか、海外の記者は「シャブ極道」まで知っていた。

 「撮り終えた後、映画はあちこちの国に行って、いろいろな人を楽しませている。『ああ、映画っていい仕事だなあ』と思いましたね」(田中誠)

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1855735 0 エンタメ・文化 2021/02/20 05:00:00 2021/02/27 14:48:00 2021/02/27 14:48:00 役所広司の演技に大きな影響を与えた映画「眠る男」のワンシーン(小栗康平事務所提供) https://www.yomiuri.co.jp/media/2021/02/20210219-OYT1I50063-T.jpg?type=thumbnail

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