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連ドラ、相次ぐリバイバルヒット「変な新作より良質な再放送を」は本音か

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 コロナ禍、在宅時間の増加でテレビ番組の再放送が見直されている。「前に見た」「古くさい」とチャンネルを替えたくなる手をとめ、つい見入ってしまう人が少なからずいるのだ。昨年は、約20年前の連続ドラマが高視聴率を稼ぎ、SNSでも話題となった。視聴者に浸透してきた放送直後の見逃し視聴とは一線を画し、ドラマもドキュメンタリーも時代を切り取った秀作は、名作映画同様、いつの世も視聴者の心を打つようだ。

田村正和が名警部補を演じる「古畑任三郎」。日本映画専門チャンネルが再放送に取り組んでいる(C)共同テレビジョン
田村正和が名警部補を演じる「古畑任三郎」。日本映画専門チャンネルが再放送に取り組んでいる(C)共同テレビジョン

苦肉の「名作選」…想定外の手応え

 再放送には3種類ある。ネット経由も含めて最近、利用者が増えている「見逃し視聴」、連続ドラマの新シリーズが始まる際に前作が夕方などに流される「番組宣伝」、そして初回放送時から時を経て改めて登場する「名作選」だ。

 コロナ禍で新作の制作が滞る中、各局が苦肉の策として編成したのが、この「名作選」。ドキュメンタリーやバラエティーでは、「NHKスペシャル」、「ブラタモリ」(NHK)をはじめ、過去の放送回を再構成したり、総集編にまとめたりしてしのいだ。ドラマでは、NHK「破獄」(1985年)、TBS「JIN-仁-」(2009、11年)などが再編集版も含めて放送された。

「水戸黄門」は今もTBSの魂だ。BS-TBSでがっちり再放送される(写真は8日スタートの第35部)
「水戸黄門」は今もTBSの魂だ。BS-TBSでがっちり再放送される(写真は8日スタートの第35部)

 それらの反響が、3月に開かれたNHK放送文化研究所(文研)のシンポジウム「新『再放送』論」で報告された。文研が昨年9月に行った調査では、「特に印象に残った再放送」は、1位がTBS系「逃げるは恥だが役に立つ」(16年)、2位がNHK「ブラタモリ・アンコール」だったが、3、4位にフジテレビ系「やまとなでしこ」(00年)、日本テレビ系「ごくせん」(第1シリーズ、02年)が入った。

 「やまとなでしこ」は7月に特別編として2夜に分けて放送。「今見ても全然色あせない」などの声がSNS上に多数寄せられ、同作に初めて触れた人をも魅了した。「ごくせん」は6月、まずは夜の時間帯に2回放送され、松本潤、小栗旬ら今をときめく俳優らの若き日の姿が楽しめるとあって、ともに12%超の視聴率を記録(関東地区、ビデオリサーチ調べ)。好評を受け、関東地区ではその後、週末の午後にも編成され、いずれも高視聴率となった。

旬の味と熟したうまみ「全くの別物」

 文研が再放送(名作選)を求める理由を尋ねたところ、40代女性を中心に「懐かしい気分に浸れる」「見たかったものが無料で楽しめる」「連ドラなどが一気に見られる」といった声が多数上がった。また、「演技や伏線など本放送時とは違う発見がある」「親子のコミュニケーションの糸口になる」などの意見や、「変な新作より、良質な再放送を」といった厳しい指摘も噴出。「見たい番組」ならばゴールデンタイム(午後7~10時)前後の時間帯でも許容された。

 一方、放送界では、俳優やタレントが不祥事を起こすたびに、番組差し替えや出演場面のカットが取りざたされる。これについては「作品が良ければ再放送すべき」との声が半数を超え、逆に「再放送すべきでない」「出演部分をカットすべき」は12%に過ぎなかった。

 「番組を“見直す”ニーズがあることがわかった。新作が旬の味なら、再放送は熟したうまみ。全くの別物だと思う」

 シンポに参加したBSテレビ東京編成局の真船佳奈さんは再放送の意義をこう語る。NHKで番組制作に携わってきた伯野卓彦編成主幹も「再放送ニーズの高さに驚いた。10年、20年前の作品は、ほとんどの視聴者にとって初見。新作扱いで見てもらえる」と話した。その一方で、本放送を見た世代を念頭に「『名作』では、最初に見た時とは違う良さを感じることができる。映画と同じく、何度放送しても見てくれる人がいる」とも述べた。

NHK・BSプレミアム「プレミアムカフェ」はドキュメンタリーの名作枠。8日は、06年のハイビジョン特集「これがラスベガスだ 華麗なるショーのすべて」が登場する=NHK提供
NHK・BSプレミアム「プレミアムカフェ」はドキュメンタリーの名作枠。8日は、06年のハイビジョン特集「これがラスベガスだ 華麗なるショーのすべて」が登場する=NHK提供

 城西国際大の滝浪佑紀准教授は、テレビ番組の特殊性として時代や文化を切り取る機能を強調。「過去の番組は楽しいだけでなく、当時の社会を見ることにもつながる」とした。伯野編成主幹も「ドキュメンタリーは歴史の教科書よりも、時代の空気がはるかによく分かる」と、再放送が今後の編成戦略に役立つ可能性を明かした。

BS・CSが「名作文化」の担い手に

 過去作品は、BS・CS局が以前から強力コンテンツと位置付けている。BS・CS放送が始まった当初は、再放送番組ばかりが並ぶ編成に「新味がない」と疑問の声が強かったが、20年以上を経てBS・CS局が“名作文化”の担い手となっているのは事実だ。

TBS系の現代劇「こちら本池上署」はBS-TBSで再放送中
TBS系の現代劇「こちら本池上署」はBS-TBSで再放送中

 BS-TBSが行った3月の改編説明会で、滝島拓編成部長(当時)は「再放送の需要は確かにある。番組によって視聴率の上下はあるが、ドラマについてはセレクトしながら引き続き放送していく」とコメント。現在は平日夕方から夜にかけて、現代劇では「こちら本池上署」(第1シリーズ、02年)、時代劇では「水戸黄門 第34部」(05年)を編成している。どちらもTBSの代表作だ。一方、BSテレ東でも平日午後の2時間ドラマの再放送枠「ザ・ミステリー」が、同局の日中の番組の中では、ほぼ最高視聴率を確保しているという。

 CS局では、「日本映画専門チャンネル」「時代劇専門チャンネル」を運営する日本映画放送の小川英洋編成制作部長がズバリ教えてくれた。

 「現代劇なら『北の国から』と『古畑任三郎』。時代劇なら池波正太郎の『鬼平犯科帳』と『剣客商売』。何度かけても古びることなく人気があり、加入に貢献し、視聴率も高い」

 北海道の壮大な自然の中で生き抜く家族を倉本聰が描きだした「北の国から」(フジ系)は、81~82年に連ドラが放送された後、02年まで単発ドラマが制作された。「古畑任三郎」(同)は、田村正和演ずる警部補の名推理を、三谷幸喜が軽妙なタッチで描いた刑事ドラマ。90年代に連ドラとしてシリーズ化され、毎回登場する豪華なゲストが話題となり、その後も特別版が放送されている。

 いずれも日本映画専門チャンネルでの集中編成などにより、根強いファンに加え、新作放送時を知らない若者世代も取り込んでいる。「古畑」については、ゴールデンウィークに同チャンネルで主なエピソードの一挙放送も行われる。

再放送でブレイクする作品も

八代目松本幸四郎による懐かしの「鬼平犯科帳’69」。5月に時代劇専門チャンネルで完全放送される(C)東宝
八代目松本幸四郎による懐かしの「鬼平犯科帳’69」。5月に時代劇専門チャンネルで完全放送される(C)東宝

 時代劇専門チャンネルのキラーコンテンツである池波2作品は、多くの名優が主人公を演じてきた。隠居生活を送りながら剣客・秋山小兵衛が悪党退治に挑む「剣客商売」は、何と言っても名優の円熟味あふれる藤田まこと版(フジ系、98~10年)が人気だ。火付盗賊改方(ひつけとうぞくあらためかた)の長官・長谷川平蔵の活躍を描く「鬼平犯科帳」は、中村吉右衛門版(同、89~16年)が広く知られるが、69年からNETテレビ(現テレビ朝日)系で放送された八代目松本幸四郎(初代松本白鸚(はくおう))版の「鬼平犯科帳’69」も、時代劇専門チャンネルでは好評だ。

 ほかに「暴れん坊将軍」(テレ朝系)、「大岡越前」(TBS系)といった作品も底堅く支持され、編成するたびに手応えがある。時代劇の場合、若い頃に見向きもしなかった人が50代以降に突如、目覚めるケースもあり、ファン層の再生産のためにも名作放送は欠かせない。

 「現代劇も時代劇も、まとめて一気に見ることができるのが専門局ならではの特長。今見ても新鮮で面白く、感動は時代を超える」

 小川部長はこう語るが、実は新作放送時に今一つの反響でも、再放送で思わぬブレイクが起きる作品もある。その一つが、70年にTBS系で放送された司馬遼太郎原作「(にわか)浪華遊侠(なにわゆうきょう)伝-」だ。林隆三主演による幕末の侠客(きょうかく)物語だが、「視聴者から『よくぞ放送してくれた!』とものすごい反響があり、逆にその面白さをこちらが教えてもらった」。

八代目幸四郎版「鬼平」はモノクロでも

 日本映画放送などは、「鬼平」と「仕掛人・藤枝梅安」の池波2作品を映画化することを3月に発表したばかり。「鬼平」は全5話の新たな連続シリーズが作られることも明らかになった。それに合わせて時代劇専門チャンネルは5月1日、「鬼平犯科帳’69」の1、2話を放送。ノスタルジーを感じさせるモノクロ映像だ。同16日からは「鬼平クラシックス」と銘打って全話完全放送も行う。

 また、同3~5日は、「時代劇ゴールデンベスト一挙放送!」と銘打って、「剣客商売」「大岡越前」「暴れん坊将軍」の名エピソードを集中編成。食わず嫌いの方も名作に触れる絶好の機会となりそうだ。

 同チャンネルは5月1~5日午前10時~午後7時、無料放送を行う。

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1957022 0 エンタメ・文化 2021/04/04 10:02:00 2021/04/04 10:02:00 2021/04/04 10:02:00 https://www.yomiuri.co.jp/media/2021/03/20210331-OYT8I50047-T.jpg?type=thumbnail

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