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松下洸平はウソがつけない…俳優をやっていくと決意後「あ、しまったと思った」

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 ふわりとした笑みをたたえ、穏やかな雰囲気をまとう、俳優でシンガー・ソングライターの松下洸平さん。4月2日に開幕したケラリーノ・サンドロヴィッチ(KERA)さん作の舞台「カメレオンズ・リップ」に出演します。うそにうそを重ね、登場人物たちがだまし合っていくコメディーへの挑戦。このほかバラエティー番組や文筆業など多方面で活躍する松下さんに、意気込みを聞いてきました。

絶妙なさじ加減で騙す男

 「うそをつけなくて。すぐばれるんですよ。ええ~、何だろう」

 インタビューの最後、「最近ついたうそは何ですか」と尋ねると、考えて、考えて、考えてくれた。それほどに、うそをつかない、いや、つけないという。しかし、今回演じるのは、絶妙なさじ加減で、上手に人を騙す男・ルーファスだ。

 姉を失ってから、うそをつくようになったというルーファスは、姉によく似た使用人と暮らす。そこに、様々な人たちが訪れるのだが、皆がうそをつくため、事態は複雑に難解に動いていく。「ルーファスは、クレイジーでもあって、人間らしいとも言うか。『詐欺師』なんだけど、人間味があふれていると思う。ルーファスだけじゃない。出てくる登場人物みんながいとしい。それは、それぞれが丁寧に描かれているからなんですよね」

 作者のKERAさんは、これまで、ナンセンス・コメディーを数多く手がけてきた。今作は2004年に初演。ルーファス役は堤真一さんが演じている。

俳優で歌手の松下洸平さん=池谷美帆撮影
俳優で歌手の松下洸平さん=池谷美帆撮影

 松下さんが、初めてKERA作品に参加したのは、昨年上演された「ベイジルタウンの女神」だ。「ヤング」という貧しい若者役に挑み、大人でも子供でもないような無邪気さと不器用さ、そして、まっすぐな愛情を全身で表現した。「KERAさんの作品は、どの人物も愛せる。変な人たちでも、心のぶつかり合いは、考えさせられる」

 稽古は佳境。和気あいあいと進んできたが、「予測できない作品。最後までやってみないと、最後まで作ってみないと分からない」と感じている。「でも、俳優自身が難しく感じていたらダメだとも思う。分かりやすく丁寧に作っていくことは一つの課題。お客さんを迷わずに出口まで導くようにするのは大変ですけど、物語をひもといていくようなお芝居は新鮮で、楽しんで取り組めている」。そう言って、ジッと前を見据える目には熱がたぎる。

 「結局、真実って、自分にしか分からない。もちろん、皆さんを導いていくんですけど、答えを渡すのではなく、問いを投げて終わりたい。あれってどういうことだったんだろって思ってもらうのも、演劇の面白さではないかなと」

続ければ続けるほど過酷

 「ここから始まった。ホームと言える場所。自分の人生を大きく変えた」

松下洸平さん(池谷美帆撮影)
松下洸平さん(池谷美帆撮影)

 その場所とは舞台だ。CDデビューし、一人で歌い、一人でライブをしていた身にとって、09年のミュージカル「GLORY DAYS」出演に「えらく感動してしまった」。何より、作品を共に作る仲間がいることが楽しくて仕方がなかった。「お客さんがいて、仲間がいて。ワイワイとしていて。こんなに面白いのかと。芝居はまだよく分からなかったけど、その空気を好きになって」と振り返る。

 同じ演技を日々続けているはずなのに、不思議と、毎日変化があり、毎日自身を試している気がした。「自分から出てきた言葉じゃないのに、自分や相手の心がキュッとしたりする。ただ覚えて来たセリフをしゃべっているはずなのに。なんだか、うれしくなった」

 そして決めた。「俳優をやっていく」。だが、「しばらくして思いました。『あ、しまった』って。続ければ続けるほど過酷で」。

様々な分野での活躍

 志した時に描いた、「俳優として輝かしい人気者になる」という夢を実現するのは、簡単でなかった。舞台などでとにかく経験を重ねた。その中で、多くの先輩たちがそれぞれ考えている「芝居の面白さ」を教えてくれたことが糧になった。「だんだん、芝居というものが分かってきて、それを極めたいと思えた。だから続けられた。教えてくれた先輩もいる。夢をかなえるまで辞められないなって」

松下洸平さん(池谷美帆撮影)
松下洸平さん(池谷美帆撮影)

 19年度、目標の一つであったNHK連続テレビ小説に出演した。「スカーレット」で演じた、ヒロインのパートナー・八郎役。つかみどころのない不思議な魅力を好演し、話題を呼んだ。「反響は本当に大きかった。すごい機会をいただいたんだなと実感した。目標がかなってみて思い続けることの大切さを知った」とかみしめるように言う。

 そこからはもう、舞台やテレビドラマ、バラエティー、音楽、文筆……と、一つの分野にとどまらずに活動する。勢い十分の現在、改めて考えている。「一つ一つのお仕事、一つ一つのお芝居をおざなりにしないでいたい。限られた時間の中で、皆さんに楽しんでもらえるように。今こそ、舞台に何か返せる気もしています」

「知ってるワイフ」「リモラブ」

 つい最近まで放送されていた「知ってるワイフ」(フジテレビ系)では、演じた「津山主任」の爽やかで優しい姿が話題となり、彼の行く末を心配する視聴者が続出したほど。「逆算できない反応があった。思わぬ形で視聴者の方に届いて、愛してくださる。とてもうれしいです」と、少し照れた表情を見せる。

 昨年、「#リモラブ~普通の恋は邪道~」(日本テレビ系)に出演して以降、特に、視聴者の存在を意識するようになった。「自分の足で訪れていただく舞台とはまた違う。まずはチャンネルを合わせてもらわなければと、監督から教わりました。答えは出ていないけど、見てもらえるお芝居というものを考えるようになったと思う」

 5月14日にスタートする、WOWOWのオリジナルドラマ「向こうの果て」にも出演予定。次はどんな役を演じるのか、楽しみな視聴者も多いはずだ。

ライブツアーや楽曲制作

 家族みんなが大の音楽好き。だからずっと、身近に音楽は存在していたのだが、高校生の時、映画「天使にラブ・ソングを2」を見て、衝撃が走った。「『僕なんてどうせ』って思っていた自分と、前向きじゃなかった登場人物がリンクした。ゴスペルを通して自己を解き放っていく姿が、僕の心も解き放ってくれたようで。歌への思いがあふれてしまった」

 カバー曲で路上ライブをしたり、自分で曲を作ったり。「洸平」名義でCDデビューも果たした。しかし、俳優業も忙しくなり、リリースを行わなくなって10年ほど。改めて、この夏頃、松下洸平としてメジャーデビューする予定だ。先日、自身初のライブツアーの最終公演で涙ぐみながら発表した。

 「あの時は、かなえられなかったことがたくさんあった。僕にとって音楽は、生活の一部。やめようにもやめられない。日頃の思いをはき出し、昇華していくもの。それで、誰かの心に寄り添うことができたら最高だなって思う」という。

 今後、楽曲制作などの作業が進められる。「今や、音楽の楽しみ方も変わり、新しい時代になっている。そこに飛び込んでいく、1年目の新人として頑張りたい」

バラエティーにレギュラー出演

 「ぐるぐるナインティナイン」(日本テレビ系)の人気企画「ゴチになります!」のメンバーに加入。「あ、やります!とはすぐにはならなかったです」と笑うが、楽しく収録に臨んでいる。「自分でもびっくりするくらい、見せたことのない表情をしているんです。プロの皆さんに囲まれて、太刀打ち出来るものはなにもないですが、ガチで笑ったり悔しんだりしたい。ここで培った度胸や瞬発力を他の現場でも生かせたら」

雑誌でエッセー連載

 雑誌「ダ・ヴィンチ」4月号からエッセーの連載がスタート。自作イラストも添える。そもそも、絵を描いたり、何かを作ったりと、一人で没頭する作業が好きな少年だった。「すごく楽しい」とにこやかに言う。「自分の言葉で自分の思いをまとめられて、自分の中が整理整頓されるようですっきりする。今は楽しいと思っているけど、楽しいだけではいかないことも多いだろうと覚悟しています」

 ◆まつした・こうへい=1987年3月6日生まれ。東京都出身。2008年にCDデビュー。09年にミュージカル「GLORY DAYS」で初舞台を踏んだ。舞台「母と暮せば」、ミュージカル「スリル・ミー」の演技で、第26回読売演劇大賞杉村春子賞(新人賞)。最近ついたうそは、「靴のサイズ」。実際よりも0・5センチ大きいサイズを申告していたという。

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1976264 0 エンタメ・文化 2021/04/10 17:44:00 2021/04/10 17:44:00 2021/04/10 17:44:00 [ALL ABOUT] 俳優で歌手の松下洸平さん(14日、東京都渋谷区で)=池谷美帆撮影 https://www.yomiuri.co.jp/media/2021/04/20210402-OYT1I50046-T.jpg?type=thumbnail

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