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「SM女王」サトエリが客引きKO、90年代レアもの連ドラも…仰天番組放つ独立局

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 キー局系地方局が不在の関東や関西などに根を下ろし、オリジナリティーあふれる番組を放ち続けているのが独立局。SNSの隆盛でメディア環境が激変する中、大きな岐路に立たされてもいるが、時として見る者を仰天させるエッジの利いた番組を放つこともある。その攻めの姿勢からは、まさに「独立独歩」の矜持(きょうじ)が感じられる。

「ハミダシ者を応援」監督の思い、真正面から肯定

佐藤江梨子(手前)らがSMの女王様にふんするサンテレビの新作連ドラは“パンクロック人情ドラマ”だというが…(C)惑星スミスでネイキッドランチを製作委員会
佐藤江梨子(手前)らがSMの女王様にふんするサンテレビの新作連ドラは“パンクロック人情ドラマ”だというが…(C)惑星スミスでネイキッドランチを製作委員会

 「惑星スミスでネイキッドランチを」……?

 タイトルだけ聞いたらSFものかと勘違いしてしまうこの連続ドラマを今月5日からスタートさせたのが、神戸市のサンテレビ。月曜深夜0時という時間帯とはいえ、SMクラブの3人の“女王様”たちが、鬱屈(うっくつ)した客たちを相手に繰り広げるプレイと場外物語は、倒錯した愛情と危険な香りに満ち、なかなか地上波ではお目にかからないタッチだ。だが、男たち、そして女王様たちが抱える事情を知れば納得もでき、クセになる味わいがある。1話目で、女王様の一人、クールな志穂(佐藤江梨子)が客引き相手に一発食らわせる登場シーンは、「うぉっ」と声が出るほどの爽快感。抜群のつかみだ。

 同局の連ドラ制作はこれが2作目。開局50周年となった一昨年、節目の新企画を模索している時、映画「ヴィヴィアン武装ジェット」(17年)など風変わりな群像劇を得意とする島田角栄監督から「他にまねできないドラマを撮りたい」と提案があり、1作目となる「元町ロックンロールスウィンドル」に取り組んだ。神戸・元町の古着屋を舞台に、愛する男のためにスカジャン狩りをする女や、80歳のストリッパーなどワケありの客たちが繰り広げるドタバタコメディーで、ロケは神戸や尼崎の実際の店舗や商店街で行った。

 地元が舞台である上、型破りでスピーディーな展開に1話目放送後からSNSで大きな反響となり、普段、ドラマを見ない男性層も取り込んでいった。配信も行い、放送地域外の視聴者にもアプローチできたという。

 だが、今作はSMクラブが舞台。「おいおい」と思う人もいるだろうが、島田監督は「ムチで(たた)くなど暴力的なSMでなく、様々な体験を経て屈折してしまったM男さんたちの愛を肯定してあげるプレイが描かれている。女王様とM男のこの信頼関係は、軽薄になった現代の家族関係以上」と強調。「不協和音が鳴り響く現代社会にSMプレイをすることで生きる喜びを感じる。それは滑稽であり、可愛(かわい)くもあり、(いと)おしい。すべての愛しきハミダシ者たちを応援するドラマ」と語る。監督の思いを真正面から肯定したとは、さすが独立局だ。

ニッチなニーズに応え、キー局と差別化

 確かに最近のキー局連ドラは、あちこちに配慮した結果、角が取れ過ぎて肝心の面白みに欠けるとの指摘がある。勢い、往年のドラマの再放送を熱望する声が視聴者にくすぶっているのも事実。その一端をすくい取ったのが千葉テレビだ。

 昨年10月改編以降、午後7時台に「もう誰も愛さない」を編成。1991年にフジテレビ系で放送された吉田栄作主演のクライムサスペンスだ。過激な演出なうえ、1週見逃すと筋がわからなくなるほどの目まぐるしいストーリー展開は「ジェットコースタードラマ」と呼ばれた。数ある連ドラから同作を選んだ理由について、千葉テレビ編成部の濱田美佳さんは「30~40代の方が懐かしく見てもらえる作品として編成。吉田栄作さんの主演作も最近、あまり再放送がないのでニーズがあるのではと考えた」と説明する。

 1月からは「ジェットコースター」の流れをくんで、フジ系で92年に放送された「あなただけ見えない」を編成。二重人格の男(三上博史)を愛してしまった女性(小泉今日子)が出会う数奇な運命を描くのだが、今ではなかなかお目にかかれないおどろおどろしい演出が連発。かなり曲者(くせもの)のサイコサスペンスだ。視聴者からは「今の時代、絶対に放送できないドラマ。よくぞ選んでくれた」との声も聞かれる。

 ただ、今月19日からは「コロナ禍で暗い作品より明るいドラマが求められているのでは」と180度方針転換する。同じフジ系で、しかも吉田の出演作ながらラブコメディーの「キモチいい恋したい!」(90年)を放送。今後も30~50代をターゲットに「良き時代を懐かしく感じられる作品を選んでいく」という。

千葉テレビの「週刊バイクTV」は04年から続く長寿番組。ツーリングコースなどを紹介する
千葉テレビの「週刊バイクTV」は04年から続く長寿番組。ツーリングコースなどを紹介する

 濱田さんが再三強調するのが「キー局との差別化」だ。自社制作番組では、4月改編から平日朝の情報番組「モーニングこんぱす」がスタート。ニュース枠と共にきめ細かい地元情報の発信に注力する。また、ニッチなニーズに応えることでも集客を図る。ツーリングの楽しさなどを伝える「週刊バイクTV」、演芸番組「浅草お茶の間寄席」はどちらも2004年から続く人気番組だ。

 「差別化は常に意識しているが、十分できていないのが現状」と語る濱田さんだが、「編成の自由度が高いのが強み」とも。スポーツ中継などでどの系列とも連携できる一方、自社番組をどこの局にでも売り込める柔軟さをどう生かすかが今後の課題となりそうだ。

時代の最前線に立つ「Z世代」スタジオに

 報道情報番組は、どの独立局も独自性を発揮する最大のジャンルだが、地元色だけでなく、出演者にもこだわってキー局に対抗するところもある。それが東京のMXテレビだ。今月から平日朝に「堀潤モーニングFLAG」をスタートさせたが、コメンテーターを20代までに限定。90年代後半以降に生まれた通称「Z世代」を中心にしたキャスティングで臨む。

3月に行われたMXテレビの番組改編発表会には、番組司会者ら(左から堀潤、垣花正、平井理央、ふかわりょう)が登場。独立局ならではの“風通しの良さ”で盛り上がった
3月に行われたMXテレビの番組改編発表会には、番組司会者ら(左から堀潤、垣花正、平井理央、ふかわりょう)が登場。独立局ならではの“風通しの良さ”で盛り上がった

 キャスターの堀潤には、若者世代にまつわる原体験がある。10年ほど前、ベンチャー企業と大手企業を結びつける事業を取材した時のこと。10~20代のアプリ開発者のそばで懸命にメモを取る年配技術者の姿が気になり、ふと尋ねると、想像もしない言葉が返ってきた。「私たちはもっと彼らの声に耳を傾け、共に産業を盛り上げていくべきだった……」。打ち明けたのは、既に他社に買収されていた大手電機メーカーの社員。もっと早く手を打つべきだったが、間に合わなかったというのだ

 「『若い』っていうと、未熟とか、まだこれからとか、そういうニュアンスで語られがちだが、彼らがいるのは、その時代のフロントラインであり、新しい技術開発の現場、新しい“言葉”を模索している現場でもある」と堀は問いかける。「そうした皆さんと接点を持つ朝の時間になれば、大人世代のニーズも満たせるのではないか」

配信駆使、アイデア次第で全国区に

テレビ神奈川「猫のひたいほどワイド」は、これでもかとイケメンたちが勢ぞろい
テレビ神奈川「猫のひたいほどワイド」は、これでもかとイケメンたちが勢ぞろい

 テレビ神奈川も情報番組の出演者に工夫を凝らす。月~木曜正午からの「猫のひたいほどワイド」は、若手俳優4人が日替わりで司会を務め、「猫の手も借り隊」と称するリポーター陣も若手俳優ばかりという“イケメン”ぞろいがウリだ。リポートはグルメ情報のほか、「ヤギ友100匹できるかな」と題して県内各地のヤギを紹介するなど、ユニークな企画にも挑戦。今後は希少昆虫やブランドレタスに迫る。

 もちろん各局とも、プロ野球など地元チームの試合中継、アニメ、音楽番組、そして時代劇にアジアドラマと定番コンテンツをラインアップし、視聴者をつなぎとめようと躍起だ。ただ、今の時代、他局への番組販売に加え、ネット配信を駆使すれば、放送エリアを越えてファン層は広がる。全国区に躍り出る番組が生まれるかどうかは、アイデア次第だ。

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1977574 0 エンタメ・文化 2021/04/11 09:08:00 2021/04/15 16:21:29 2021/04/15 16:21:29 https://www.yomiuri.co.jp/media/2021/04/20210406-OYT1I50091-T.jpg?type=thumbnail

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