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本音バシバシの北川景子、デリカシーない永山瑛太…「リコカツ」で問い直す結婚

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 交際ゼロ日でゴールインしたものの、新婚早々に離婚活動(リコカツ)――。そんな夫婦の騒動を描くTBS系連続ドラマ「リコカツ」(金曜後10時)は、夫婦役の北川景子と永山瑛太による振り切れた演技の陰に、未婚既婚を問わず、結婚や恋愛の本質について、今一度立ち止まって考え直してみるヒントが散りばめられている。夫婦そろって見たら会話は弾むか、それとも――。

交際ゼロ日婚、いきなりリコカツを開始した咲(北川景子)と紘一(永山瑛太)(C)TBS
交際ゼロ日婚、いきなりリコカツを開始した咲(北川景子)と紘一(永山瑛太)(C)TBS

交際ゼロ日婚の真逆カップルから熟年夫婦まで「全員離婚家族」

 破局して傷心のファッション誌編集者・咲(北川)は、山で遭難した時に救助してくれた航空自衛隊員・紘一(永山)の純朴な人柄にひかれて即結婚。だが、自由奔放な咲と、父親が自衛官の厳格な家庭に育った堅物の紘一は真逆の性格で、案の定、結婚式の翌朝、咲は起床ラッパの音で起こされ、家訓を唱和させられる。さらにファッションに無頓着で、しゃれたレストランにも連れて行ってくれない紘一に咲の不満が爆発。紘一も思い描いていた暮らしと違うと応酬し、ついに互いに離婚を宣言する。ところが、咲の両親(佐野史郎、三石琴乃)も紘一の両親(酒向芳、宮崎美子)も、じつはそれぞれ熟年離婚を考えているところだった……。

30日放送の3話では、夫との離婚を決意し、箱根の温泉旅館で働き始めた母親(宮崎美子、中央)のもとを紘一(永山)が咲(北川)とともに訪ねる(C)TBS
30日放送の3話では、夫との離婚を決意し、箱根の温泉旅館で働き始めた母親(宮崎美子、中央)のもとを紘一(永山)が咲(北川)とともに訪ねる(C)TBS

 ということで、企画当初のタイトル案は「全員離婚家族」。植田博樹プロデューサーが自らの家庭を振り返る。「娘が結婚して、それがきっかけとなって妻と離婚話が出たんです。妻は折に触れ、考えていたようで……。でも、そういう話をすると、逆に距離が縮まっていくんですね」。それで離婚から始まるラブストーリーを発案し、脚本の泉澤陽子に持ち掛けたところ食いついてきた。

本音バシバシの北川景子VS「昭和の男」永山瑛太

 「離婚を考えたことがない夫婦なんていないんじゃないかな?」と泉澤が問いかける。「うちもけんかするたびにしょっちゅう『離婚してやる!』って思う。誰もが身につまされ、身近に感じられるテーマ。それを面白おかしくドラマ化できるのではと思った」

 1話で描かれた夫婦の応酬を見てみよう。咲は、食事を妻ばかりが作らねばならないのはおかしいと当番制を主張。さらに「服のセンスが悪いし、買ってきたカーテンがインテリアに合わない。家訓なんて壁にかけるな!」とまくしたてた。それに対して紘一は「食事はレトルトだし、作れば生焼け。インテリアにこだわり過ぎて息苦しい!」と反撃した。

 歯に衣着せずに本音をバシバシ放つ咲、「昭和の男」さながらに不器用でデリカシーに欠ける頑固者の紘一。北川と永山のスケジュールが空くまで3年待ったかいのある絶妙の組み合わせだ。ただ、どうだろう。夫婦げんかは犬も食わぬと言うが、(はた)から見るとさほど修正困難なものとも思えない。実際、2話目では、嫌い合ってるはずの2人の間に絆のようなものが感じられ、危機は互いの両親のほうへ移ったかのよう。なかなか微妙な展開だ。

副パイロットの純(田辺桃子、左)は、同じ職場の紘一にひそかに憧れている(C)TBS
副パイロットの純(田辺桃子、左)は、同じ職場の紘一にひそかに憧れている(C)TBS

 この先どうなるか。植田プロデューサーが明かす。「互いに何が気に入らないのか、100個ずつ挙げようとするくだりが脚本にあるんですが、結局、2人とも100個挙げられない。なんだ、これだけだったのかってことになる」。離婚により、それらから解放されたら「2人の間に本当の愛が戻るかもしれない。離婚したから不幸、結婚するから幸せとか、そういうのを超えたラブストーリー。それがこの作品が提案するもの」

 「結婚」がいかに形式的なものであるか、どうやらそのあたりがカギとなりそうだ。泉澤が語る。「結婚、離婚というのは、社会生活を送りやすくするために人間が考えた制度なのに、いつの間にかその制度によって生きづらくなってしまう人もいる。結婚の先延ばしもそういうことだと思うが、いろんな人たちを登場させて、制度の前で揺れ動く気持ちを描ければいい」

「正解は他人が決めるものじゃない」

 結婚は人生の大きな区切りのはずだが、植田プロデューサーは「それって結構、些末(さまつ)なことなのではないか」とあえて訴える。「このドラマが終わった時に『同棲(どうせい)中だけど、この先、結婚ってシステムにとらわれなくていいよね』と思うのか、『やっぱり結婚してみたほうがいいね』と思うのか。そこのハードルみたいなものが、ジェンダーレスと同じように乗り越えていける世界観が見えてきている。周りの人がどう考えようが、国がどう決めようが、結局、肩肘張ることなく、2人にとって居心地のいい関係であればいい。正解はほかの人が決めるものじゃないのだから」

 それらは新婚の2人だけでなく、熟年離婚の危機にさらされた互いの両親にもあてはまる。母親たちは、それぞれの理由から夫に愛想をつかし、残された中年男2人は、同類相哀れむように酒をくみかわす。これは男の弱さをひしひしと感じた植田プロデューサーが、泉澤に頼んで作ってもらったシーンだ。

熟年離婚の危機を迎えた夫2人(左から酒向芳、佐野史郎)がしみじみ酒をくみかわす(C)TBS
熟年離婚の危機を迎えた夫2人(左から酒向芳、佐野史郎)がしみじみ酒をくみかわす(C)TBS

 「残された男たちにも希望があると感じられる場面。男って仕事の肩書を失うと何もなくなってしまうと思いこんでしまうが、妻たちの姿を見て、自分たちにも何かできるのではないかと思い出してくれる物語にもしたい」

 新婚ホヤホヤのカップルも熟年夫婦も、リコカツを通して新たなライフスタイルを見つけていく。際立ったキャラクター設定やコメディータッチのドタバタ感が秀逸だが、根底に流れるメッセージも意外と深みがある。

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2019486 0 エンタメ・文化 2021/04/29 09:08:00 2021/04/29 09:08:00 2021/04/29 09:08:00 https://www.yomiuri.co.jp/media/2021/04/20210422-OYT1I50095-T.jpg?type=thumbnail

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