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「いぶし銀のような円熟の境地」でなく、これからも小曽根真は「悪あがき」

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<STORY4>

 活動の大きな柱となっているのが、クラシックへの取り組みだ。近年、海外公演はクラシックの方が目立つと言ってもいいほどだ。

 1990年代後半から、ガーシュウィンのピアノ協奏曲をオーケストラをバックに演奏するなど、クラシックの経験を積んできたが、「それはあくまでもジャズ・ピアニストとしての関わりの域は出ていなかった」と言う。本人の中でその枠を飛び越えたのが、2003年、札幌交響楽団の定期公演への出演だった。

2017年にはバーンスタイン生誕100年祭でニューヨーク・フィルと共演した=Photo by Chris Lee
2017年にはバーンスタイン生誕100年祭でニューヨーク・フィルと共演した=Photo by Chris Lee

 「てっきりガーシュウィンの『ラプソディ・イン・ブルー』あたりをやるものだと思い込んで気軽に引き受けたら、指揮者の尾高忠明さんが『モーツァルトのコンチェルトから好きな曲を選んでください』。ジャズとは縁遠い作品を弾けという要求に青ざめました」

 清水の舞台から飛び降りるような心境で選んだのは、第9番「ジュノム」。「間違いなくこれまでで一番練習しましたね」と笑う。ジャズ的な解釈や方法論で演奏する選択肢もあったが、「モーツァルトの音楽の精神性はそこにはない。たとえボロボロでもクラシックの様式にのっとろう」と考え、楽譜に忠実に演奏した。

 これが吉と出たようだ。07年にはポーランドのシンフォニア・ヴァルソヴィアとベートーベンの「ピアノ協奏曲第2番」、10年にはオーケストラ・アンサンブル金沢とショスタコービッチの「ピアノ協奏曲第1番」など、内外のオーケストラからソリストとして招かれるようになった。17年には名門ニューヨーク・フィルハーモニックのバーンスタイン生誕100年祭に招かれ、その「不安の時代」とガーシュウィンの「ラプソディ・イン・ブルー」を演奏するというクラシックの一流どころでも得がたい晴れ舞台に立った。

 「クラシックにはジャズとは別種の楽しみがある。さしずめ楽譜を通して作曲家と会話しているような。例えば、ショスタコービッチを弾いた時には、『ここは遊び心で書いたな』なんて分かった気がして思わずにやりとした。ソロの部分など、『自分ならどうするかな』といろいろ試してみるが、原曲は超えられない。弾けば弾くほどその深遠さに魅了されます」

 ジャズはもとより、クラシック、読売演劇大賞最優秀スタッフ賞を受賞した舞台「組曲虐殺」をはじめ劇中音楽など、多彩かつ高水準な活動を繰り広げる。

 「これから自分がどんな音楽をやるのかは想像がつかない。ただ一つ、『いぶし銀のような円熟の境地』といったところにはいかないでしょう。最後まで悪あがきをしたいからね」

(西田浩)

(おわり)

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2007512 0 音楽 2021/04/24 05:00:00 2021/05/01 13:42:21 2021/05/01 13:42:21 Alan Gilbert conducts the New York Philharmonic in Bernstein celebration with Makoto Ozone and Anthony McGill as soloist at David Geffen Hall, 11/2/17. Photo by Chris Lee https://www.yomiuri.co.jp/media/2021/04/20210423-OYT1I50120-T.jpg?type=thumbnail

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