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尾野真千子、ジョッキあおって鬼気迫る表情も…どんな役にも「女の生々しさ」

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 石井裕也監督の最新作「あかね色に焼かれる」は、コロナ禍のさなか、生活苦にあえぎながらも、息子と肩を寄せ合い生きる母の物語。主演の尾野真千子は「石井さんの『今、撮りたい』という強い衝動に背中を押された。久々に燃え尽きた」と語る。(山田恵美)

 石井監督が、早世した自身の母の記憶を頼りにストーリーを構想したのは、昨年初夏のこと。自ら脚本を書き上げ、2か月で撮影までこぎつけた。閉塞へいそく感が漂う中、「ギラギラ輝く母を通じ、愛と希望を描きたい」との思いからだったという。

 ミュージシャンの夫(オダギリジョー)を7年前に交通事故で亡くした良子(尾野)は、営んでいた小さなカフェがコロナ禍で潰れ、昼はパート、夜は風俗店で働きながら、13歳になる息子(和田庵)を育てている。

劇中の大半、登場人物はマスク姿。「コロナ禍だからこそ生まれた映画かもしれません」=宮崎真撮影
劇中の大半、登場人物はマスク姿。「コロナ禍だからこそ生まれた映画かもしれません」=宮崎真撮影

 つづられたセリフが「ものすごい熱を放っていた」と、脚本を託された時を振り返る。「現実でも、たくさんの人が生きるため必死にもがいている。だから、たくましく戦う母の姿が切実に感じられました」

 義父の老人ホーム入居費を負担し、夫と浮気相手との間にできた娘の養育費まで支払う良子。一方で、夫を奪った事故の加害者側からの賠償金は、「謝罪がないから」と受け取らない。風俗店の店長(永瀬正敏)に「意味ないじゃん、苦しんで生きるの」と水を向けられても「ですよね」と笑い、息子には、「まぁ頑張りましょう」と淡々と話す。

 「変わった母親に見えますよね。でも、愛した夫や、命に代えても守りたい存在のためなら何だってできる。そういう気持ちがすっと理解できたんです。母親ってすごいなぁって」

演劇に熱中していた良子は、本音を隠す「芝居」で現実をやり過ごす(C)2021「茜色に焼かれる」フィルムパートナーズ
演劇に熱中していた良子は、本音を隠す「芝居」で現実をやり過ごす(C)2021「茜色に焼かれる」フィルムパートナーズ

 そんな良子が本音をさらけだすのが、風俗店の同僚(片山友希)と、夫が死んで以来久しぶりに酒を飲むシーン。「怒った方がいい」と同僚に言われ、ジョッキをあおり、世の中の理不尽さを訴える表情は、鬼気迫るものがあった。

 「本当に怒ってるのか、あきらめてるのか。複雑な感情がリアルにこみ上げてきて、うそをつかずに演じられた気がします」と述べ、「カットがかかった瞬間に違うこと考えてましたけど。ご飯は何かな?とか」。あっけらかんと笑う。

 中学生時代、学校のげた箱の前で河瀬直美監督に見いだされ、「萌の朱雀」で主演デビュー。その後、下積みも重ね、演技派女優の地位を確固たるものにした。どんな役にも女の生々しさを匂わせる独特の表現力は、天性のものなのか。

 「尾野真千子が見えちゃったらダメでしょう? だから、メイクさんや衣装さんの力で違う女性になる。化粧を落とされても構わない。周りのみんなが、私を役そのものにしてくれるんです」。さらりと言った。

 21日公開予定。

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2055243 0 エンタメ・文化 2021/05/16 09:07:00 2021/05/16 13:20:11 2021/05/16 13:20:11 映画「茜色に焼かれる」に主演する尾野真千子さん2(4月23日、東京都中央区で)=宮崎真撮影 https://www.yomiuri.co.jp/media/2021/05/20210510-OYT1I50073-T.jpg?type=thumbnail

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