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37歳主婦、家事の合間縫い地元百貨店閉店を小説に…「ありがとう西武大津店」文学賞受賞

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2020年8月末で閉店した西武大津店。現在は解体作業が進んでいる(大津市で)=2020年7月撮影
2020年8月末で閉店した西武大津店。現在は解体作業が進んでいる(大津市で)=2020年7月撮影

 昨年8月末に閉店した百貨店「西武大津店」を舞台にした短編小説が、女による女のためのR―18文学賞を受賞した。著者は大津市の主婦宮島未奈さん(37)で「正直びっくり。ローカルな題材から普遍的な物語を生み出せたと思う」と喜んでいる。発売中の「小説新潮」5月号に掲載されている。(山根彩花)

 タイトルは「ありがとう西武大津店」。閉店前の1か月間、女子中学生が地元テレビ局の中継に映り込む目的で店に通ううち、テレビを見た地元の人たちから声をかけられ、様々な縁が生まれていくストーリー。リズミカルな文章、日常生活の描き方などが選考委員から高い評価を受けた。

 2009年から大津市に住む宮島さんは、買い物は以前住んでいた京都市に行くことが多かったが、新型コロナウイルスの感染拡大を受け、近所の西武大津店を訪れるように。小学2年生の長女が通う学校で行事が中止になったり、夏休みが短縮されたりしたことから、地元の百貨店の閉店と、コロナ禍の影響を受ける子どもを絡めた物語を書こうと思い立ったという。

 同店閉店後の9月以降、家事や育児の合間を縫って、約1か月かけて400字詰め原稿用紙約50枚分の短編を書き上げた。「実在の百貨店に虚構を混ぜ込む割合に気をつけた」。タイトルに「ありがとう」とつけたのは、店内に飾られたボードが、感謝を伝える市民らの書き込みで埋められていたのを見たから。「地元に愛された存在だったのだと実感し、感動した」

 読書好きで、小学生の頃から小説を書いていたという。プロの作家を目指したが、20歳代半ばでいったん、断念した。今回の文学賞の選考委員でもある三浦しをんさんの「風が強く吹いている」を読み、「こんなすごい小説は自分には書けない」と、力不足を痛感したからだ。

 しかし、別の作家の小説を読んで再び創作意欲をかき立てられ、17年に執筆を再開。18年には第196回コバルト短編小説新人賞で入選した。

 一度はプロをあきらめるきっかけとなった三浦さんからの高評価に、喜びもひとしおの様子。「ミステリーやファンタジーなどにも挑戦し、読者が明るい気分になるような作品を書いていきたい」と気持ちを新たにしている。

 ◆女による女のためのR―18文学賞=新潮社主催の新人文学賞。性自認が女性の人を対象に、女性ならではの感性を生かした短編小説を募集している。選考委員は、作家の三浦しをんさん、辻村深月さんら。過去には「ふがいない僕は空を見た」で山本周五郎賞を受賞した窪美澄さんも受賞している。今回が20回目で、843作の応募があった。大賞(賞金30万円)のほか、お笑いタレントの友近さんが選ぶ「友近賞」、読者投票による「読者賞」があり、宮島さんの作品はこの3部門全てを受賞した。

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2058257 0 エンタメ・文化 2021/05/17 17:46:00 2021/05/17 23:20:06 2021/05/17 23:20:06 9月に解体工事が始まる西武大津店(大津市で)9月にも解体工事が始まる西武大津店(大津市で) https://www.yomiuri.co.jp/media/2021/05/20210517-OYT1I50118-T.jpg?type=thumbnail

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