日本語の小説で芸術選奨新人賞、台湾出身作家が描く「境界」とは

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李琴峰さん(小説家)

 今年の三島由紀夫賞候補作にもなった「彼岸花が咲く島」の著者、台湾出身の李琴峰さん(31)は、日本語で創作活動をする小説家だ。2013年に来日し、17年に作家デビュー。翻訳や通訳も手がける。二つの言語を自在に行き来する表現者は、既存社会の境界線も越えて、世界を描き出す。(文化部 武田裕芸)

漁で使った縄がジャケットに変身…「地域アピールの機会にも」
台湾出身の作家 李琴峰さん=佐藤俊和撮影
台湾出身の作家 李琴峰さん=佐藤俊和撮影

  • り・ことみ  1989年生まれ、台湾出身。早稲田大学大学院修了。19年に「五つ数えれば三日月が」で芥川賞候補に。「ポラリスが降り注ぐ夜」で20年度の芸術選奨新人賞を受賞。

家では中国語、祖父母は台湾語

 「両親は、家で中国語を話し、祖父母は台湾語を使っていました。私は、英語と日本語も勉強しました」。母語のようにすらすらと日本語を操る。

 「彼岸花が咲く島」は、「ひのもとことば」「ニホン語」「女語(じょご)」という、架空の3言語が話される島が舞台だ。〈ワーも(アー)した!〉〈ツァーシー(やかましい)!〉。るつぼと化した不思議な世界が立ち現れる。

 来日して大学で言語学を学び、故郷の言語の豊かさに気付いた。中国語と台湾語に加え、日本統治時代の名残で高齢者が話す日本語。さらに、タイヤル語など先住民の言葉や、そこに日本語が混ざったクレオール……。本作は、それらを溶け合わせてしまう試みともいえる。「これまでの作品でも日中台といろんな言語を使ってきた。今回は言語を混ぜると、面白い実験になりそうだなって」

日本語を独学、漫画「犬夜叉」を愛読

 1日にバスが数本しか通らない田舎町で育った。

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2074699 0 エンタメ・文化 2021/05/24 15:00:00 2021/05/24 15:00:00 2021/05/24 15:00:00 https://www.yomiuri.co.jp/media/2021/05/20210520-OYT1I50028-T.jpg?type=thumbnail

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