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後悔を抱え、役作りを超え憔悴する永瀬正敏…オダギリジョーの「偽りではない涙」に感謝

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 永瀬正敏主演の「名も無い日」が11日から公開される。カメラマンとしても活動する日比遊一監督の実体験を基にした3兄弟の物語。日比監督の分身である長男・達也を演じた永瀬は「いろいろな意味で深い作品になってしまいました」と神妙に語る。(田中誠)

弟を演じたオダギリジョー、金子ノブアキの演技や存在に助けられたという。「あの2人は本当にすごかったですね」=奥西義和撮影
弟を演じたオダギリジョー、金子ノブアキの演技や存在に助けられたという。「あの2人は本当にすごかったですね」=奥西義和撮影

 写真家としてニューヨークで活動する達也のもとに、次男の章人(オダギリジョー)の訃報ふほうが入る。故郷の名古屋に戻った達也は、三男・隆史(金子ノブアキ)と共に、章人の死とそこに至るまでの時間に向き合う。あまりにも重い現実を前にシャッターが押せなくなる。

 重い役だが、「どうしても一回、弟と向き合わなければいけないと思っているんです」という日比監督の思いに応えようと、出演を決めた。「写真が撮れない、シャッターを押せない時期があった」という監督に共感したとも。

 実は永瀬自身も幼少時、生まれて間もない弟を亡くしている。祖父は戦前に写真館を営んでいた写真師だったが、父が「(死んだ息子の)写真を撮ってくれ」と頼んだところ、断固として断ったのだという。自身もカメラを仕事にしており、「孫のそんな姿は撮れない、というおじいちゃんの気持ちが分かったから、深く追求しなくても(演じる)達也の気持ちが分かったんですよね」。

 物語の主な舞台となる達也の実家は、日比監督の実家、そこで弟が亡くなった家を使って撮影したという。「脚色はされているんですけど、ご自身の体験を映像として残そうということで、相当な覚悟だったと思います」。出演者もその思いに応え、「全員が役そのもので現場にいました。その役として生きていないとできない役柄でしたね」と撮影を振り返る。

 中でも胸を打つのが、章人が達也に心情を吐露するシーン。オダギリジョーと本格的に共演するのは今回が初めてだったが、「さすがだなと思いました。彼のお芝居には真実があるんですよね。脚本には『泣く』なんて書いていないから、偽りではない涙を、あの時、オダギリ君は流した。本当に章人がいると思って、おかげで達也になれた」と感謝する。

弟の死を受け止められない達也(永瀬正敏)は、過去の記憶を探るように名古屋を巡る(C)2021『名も無い日』製作委員会
弟の死を受け止められない達也(永瀬正敏)は、過去の記憶を探るように名古屋を巡る(C)2021『名も無い日』製作委員会

 このシーンに限らず、本作の永瀬は、役作りや演技を超えて、憔悴しょうすいしているように見える。その理由は、日比監督と同じ「後悔」を抱えているから。売れない頃、夢を語り合った親友が突然この世を去った時、母親が急逝した時――。

 「なぜあの時、ひと言声をかけなかったのか、そばにいてやれなかったのか。なぜ仕事を理由にして(実家に)帰らなかったのか。撮影中、ずっとそういう思いでいましたから。その思いはたぶん、消えないんでしょうね」

 演じる役と自らの経験、境遇が重なり、特別な作品となったようだ。

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2117331 0 エンタメ・文化 2021/06/11 12:24:00 2021/06/11 12:24:00 2021/06/11 12:24:00 映画「名も無い日」に出演した俳優の永瀬正敏さん。東京都港区の六本木スタジオで。2021年3月18日撮影。 https://www.yomiuri.co.jp/media/2021/06/20210605-OYT1I50041-T.jpg?type=thumbnail

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