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ノーネクタイで現れたカラックス監督、場内で取り出したのは…カンヌ映画祭日記

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フラッシュのなか、エレガントな白いドレスで登場したジョディ・フォスター

 強烈な陽光の下、南仏カンヌで7月6日、第74回カンヌ国際映画祭の幕が上がりました。昨年はコロナ禍により、通常の形では開催されませんでしたが、今年は、対策を施したうえでの開催です。現地入りした記者が、カンヌで目にしたあれこれをお伝えします。それでは、Allons‐y!(レッツ・ゴー!)(文化部 浅川貴道)

 クジャクの羽のように裾の長い優美なドレスを身にまとった女性、雑誌から飛び出してきたようなスタイルの良い男性がレッドカーペットを行き交います。カメラマンたちが声をかけると、ゆっくりとポーズをとる彼ら。瞬くフラッシュ――。

開幕式では記者も一人の観客。カメラは持ち込めないので、スマホで撮影しました。ステージに並ぶ審査委員たちが豆粒です……
開幕式では記者も一人の観客。カメラは持ち込めないので、スマホで撮影しました。ステージに並ぶ審査委員たちが豆粒です……

 カンヌ国際映画祭の開幕式の会場にはレッドカーペットが敷かれ、映画監督、俳優やプロデューサー、映画界のセレブたちが次々に現れます。コロナ対策のために、会場内ではマスクの着用が義務づけられていますが、レッドカーペットの上は特別。皆マスクを外して、開放的な笑顔を見せます。

 ひときわフラッシュが強まった時、そこに立っていたのは女優のジョディ・フォスター。映画界への貢献をたたえて、この日「名誉パルムドール」を授与される彼女は、エレガントな白いドレスに身を包み、ゆっくりと劇場に通じる階段を上ります。続いて現れたのは、審査委員たち。審査委員長のスパイク・リー監督は、ピンクのジャケットとパンツ、サングラスまでピンクという鮮烈ないでたちで会場を沸かせます。

 そして、この日の主役である映画祭のオープニング上映作品「ANNETTE」のレオス・カラックス監督、主演のアダム・ドライバーほか、出演者が到着しました。カラックス監督は、正装が義務づけられた会場で、一人ノーネクタイというラフな格好。不敵な笑みを見せ、劇場へと消えたのでした。

オープニング作「ANNETTE」終演後、マスクの観客から5分におよぶ熱烈拍手

 会場の観客はみなマスクを着用していますが、それ以外でコロナを感じさせるものはありません。映画祭は2019年に「パラサイト 半地下の家族」で最高賞パルムドールを受賞した韓国のポン・ジュノ監督の宣言により、いよいよスタートしました。

 オープニング作「ANNETTE」は、ロックデュオ「スパークス」作曲によるミュージカル作品です。売れっ子コメディアンであるヘンリー(ドライバー)と、オペラ歌手のアン(マリオン・コティヤール)は世間が注目する恋人同士。愛し合う2人の間に、アネットという女の子が生まれます。ところが、飛ぶ鳥を落とす勢いだったヘンリーの人気が陰っていきます。一方でますます評価が高まるアン。2人の間にすきま風が吹き始めます。その様子を見つめるアネット……。

 この幼いアネットを、カラックス監督は人形を使って表現しました。特別な才能を発揮する彼女を、生身の人間によらずに表現したのは、いかにも鬼才と呼ばれる監督のアイデアです。そして、運命の歯車に巻き込まれたヘンリーの転落を演じるドライバーの演技も強烈。終演後には、観客から5分間におよぶ熱烈な拍手が送られました。

 このときスクリーンに映し出されたのは客席にいたカラックス監督と出演者たち。監督は何とたばこをポケットから取り出すと、火をつけて吸い始めたのでした。さらに、ドライバーにも1本勧める様子が映されると、会場は大盛り上がり。彼だからこそ許される光景でした。

取材は苦手「もう終わり」とばかりに席を立ち、あっけなく会見終了

記者会見でオープニング作品「ANNETTE」について語るレオス・カラックス監督。この後まもなく席を立って退出してしまい、会見は終了となりました
記者会見でオープニング作品「ANNETTE」について語るレオス・カラックス監督。この後まもなく席を立って退出してしまい、会見は終了となりました

 翌7日、記者会見に臨んだカラックス監督は、彼の作品を日本に紹介し、製作も手がけた日本人プロデューサー吉武美知子さん(2019年死去)への感謝の言葉を述べたり、自身の映画を「音楽を作曲することのようなもの」と穏やかに語ってくれたりしましたが、会見が始まって40分ほどたつと、「もう終わり」とばかりに席を立って退出してしまいました。監督は取材が大の苦手とのこと。報道陣も、「じゃあ仕方ない」という様子で会見は終了となったのでした。

 コロナ禍で様々な変更がなされ「今年はイレギュラー」と誰もが口をそろえるカンヌ。開幕はカラックス監督の強烈な個性によって彩られました。閉幕までの12日間、どんな日々が待っているでしょうか。

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2192985 0 エンタメ・文化 2021/07/09 12:06:00 2021/07/09 18:11:03 2021/07/09 18:11:03 開幕式では記者も一人の観客。カメラは持ち込めないので、スマホで撮影しました。ステージに並ぶ審査委員たちが豆粒です…… https://www.yomiuri.co.jp/media/2021/07/20210708-OYT8I50099-T.jpg?type=thumbnail

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