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鬼伝説に注目、勅使川原三郎の新作「羅生門」…芥川小説の先にあるものとは?

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 世界的ダンサー・振付家の勅使川原三郎の新作「羅生門」が8月6日から8日まで、池袋の東京芸術劇場で上演される。独ハンブルク・バレエ団の名手、アレクサンドル・リアブコを迎え、芥川龍之介の小説の先にあるものや鬼の存在に着目して創作する。勅使川原に構想を聞いた。(編集委員 祐成秀樹)

「羅生門」に挑む(左から)宮田、リアブコ、佐東、勅使川原 (C)Sakae Oguma
「羅生門」に挑む(左から)宮田、リアブコ、佐東、勅使川原 (C)Sakae Oguma

 勅使川原と創作を支える佐東利穂子は、国内外で音楽、絵画、映画、小説、詩などの核心を、しなやかな身体で表現する作品を上演してきた。

 「創作する時は、今を生きていて感じていることを、舞台上に生き生きと表せる題材を選んでいます」

 今回は黒沢明監督の映画ではなく、もとになった芥川の短編を舞踊化する。「神話を読み取った。平安時代の出来事がドキュメンタリーのように書かれていて、現代に通じる内容をもっています」

鬼は人間の心の中で作られた怪物、すべてを知り尽くしている

 捨てられた死体が重なる羅生門。雨宿りした下人が、女の死体から髪の毛を抜く老いた女性と出会う。勅使川原は、この最低の状況を凝視する。「そうでもしなければ見えない大事なことがあり、美しいことを反映させられるのでは」。当然、独自の視点を加える。「小説の前と後に、書かれていない物語があるとすれば、どんなことだろうか」

 下人が老人の着物を奪い去った後のことや羅生門に巣くう鬼の伝説に注目した。「鬼は人間の心の中で作られた怪物。人格を超え、すべてを知り尽くしているのでは。鬼の存在を際立たせようと思った」

 芥川の文体も意識する。「二重性があるような気がする。言葉の裏側に何かがあって神話的に響く。読み解くことがダンスになる」

 この創作に必要な身体性と理解力を持つダンサーを探したところ、リアブコを見つけた。所属バレエ団を率いる巨匠振付家ジョン・ノイマイヤーの傑作「ニジンスキー」「椿姫」などで入魂の踊りを見せてきた。「動き以前の内的なものをきちっと準備できる人。繊細さと強さを同時に持つ高度な表現者だと思います」

 伝統楽器「 しょう 」の宮田まゆみの力を借りる。「時間と空間を超えていく音楽性を持つ。どこからか遠いところから降りてきて、どこまでも行ってしまう感じがする」

 リアブコは6月30日に来日し、隔離期間中にリモートで勅使川原独特の身体技法を習った。取材した19日の時点では、配役は未定だった。「登場人物の役割と根幹にあるものを動きとして探っている。作品をつくる時は、いちばん遠いところを回って近づいていくんですよ」と勅使川原。

 24、25日には、芸術監督を務める愛知県芸術劇場で自作の「風の又三郎」を上演。同時期に宮沢賢治と芥川に向き合った。「賢治は若者への応援歌を根本にもっていた。芥川はどこかで死を感じさせる。極端に違う2人なので面白い。それは自分の中に両方の要素があるからだと思う」(電)03・5858・8189。

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2243710 0 エンタメ・文化 2021/07/29 12:00:00 2021/07/29 12:00:00 2021/07/29 12:00:00 「羅生門」を創作する(左から)宮田、リアブコ、佐東、勅使川原(c)Sakae Oguma https://www.yomiuri.co.jp/media/2021/07/20210728-OYT8I50081-T.jpg?type=thumbnail

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