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ギタリストの布袋寅泰が、4曲入りのEP「Pegasus」(ユニバーサル)を出した。アーティスト活動は40年を数え、来年還暦を迎える。「常に時代とともに呼吸し、その時のリアリティーを作品に投じるのが我々の表現」と語る。(文化部 池内亜希)
ロックバンド、BOOWY(ボウイ)で活躍し、1988年にソロデビュー。若い頃を「嫌なやつでした。かっこよかったけどね」と思い返す。「鋭い目線で熱いアティテュード(姿勢)を伝えないと、誰も振り向いてくれなかった。BOOWYは最高のバンドなんだと、勝負をかけていた。インタビューだってケンカだと思ってたからね」と笑う。

今は「あのギラギラした布袋はいない」が、ギターの演奏スタイルは変わらないという。「70年代後期のブリティッシュロックやニューウェーブ、パンク。豊かな音楽で育った感覚が強い」。BOOWY時代からサウンドに色をつける役目を担い、自由にギターを弾けた。「それが僕の原点。原点を磨くことに40年を費やした」。多彩な音色で様々な感情を表現してきた。
表題曲は、冒頭から布袋らしさがあふれる。鋭く、勇ましく、キャッチーなメロディー。「どこを切り取っても布袋だというサウンド。ファンは懐かしさも感じるでしょう。ギタリストなら、たまらなく弾きたくなるリフでもありますよ」
「もっと真っ
「10年前の今日のこと」は、アコースティックサウンドに乗せ、昔を振り返る。ロンドン在住の布袋は、コロナ禍によるロックダウンの影響で自分と向き合う時間が増えたという。「10年前のスケジュールを見ると、東日本大震災の復興支援ライブの準備があった。あの時も大変でした。一瞬一瞬がうたかたのようで、重なり消えていく。大切にしたいと改めて思う」
華々しく迎える予定だった節目。「何もやっていない自分にいら立ち、もどかしさもあった」。しかし、力を込めてこう続けた。「震災もあり、当たり前に毎日がくるわけではないと知った。これが俺の最後の作品になるかもしれない。最後の音楽は少しでも(聴き手に)響くものでありたい。偽りの形を残したままでは、終われない」