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スタッフが食事中、お茶で我慢

収録前夜から食事をセーブし、朝は絶食して臨む。最近は食事の場面の収録が、おおむね昼食の時間帯に間に合うようになってきたが、当初は午後2時、3時になってようやくひと口目にありつけたことも。「スタッフが食事をしている間、僕だけ横で何もせずにお茶を飲みながら待っていました。そういう(自分の)追い込み方って、このドラマならではでしょうね」
その成果があの表情だ。「おなかをすかせてひと口目を食べた時に、どんな気持ちが湧き起こるか。リアルにドキュメンタリーとして映像に残したいと思っています」。取り立てて役作りはなく、例えば、ぬれ場の撮影と変わらないという。「俳優の技術として性行為の訓練なんてしないし、食事のシーンでどうやったら映像的に美しく見えるか研究したかって言えば皆無。ただ生きざまをさらすだけですよ。工夫だとか努力だとか全くした覚えがない。ただ、根底に流れているものはほかの芝居と同じで、リアルに日常を演じているだけ」
「戻らなきゃいけない場所」
自身でもここまで続くとは想定外だった。今やアジア各国でも好評を博す人気ぶりで、「本来の俳優・松重豊としては不本意かもしれないけど、メシ食ってるおれの演技というか、ドキュメンタリーみたいなものが独り歩きして評価されている」とまんざらでもなさそうだ。
「井之頭五郎はいつでも胃袋さえ空っぽにすれば演じられる。一人の役者としては、リセットできる材料を手に入れたような感じですかね。ただ、僕なんか放っておけばジジイになるだけなので、黒髪にしてあれだけの食欲を見せるのは、自分にとって『戻らなきゃいけない場所』という意味もあるので、あまり老け込めないなという気ではいます」
