低視聴率とは言うけれど「深イイ魅力がある」…地元の人々の心を打つ朝ドラ「モネ」

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 登米市と気仙沼市を舞台にしたNHK連続テレビ小説「おかえりモネ」が、全120回の折り返し地点を過ぎました。これを機に、地元発朝ドラを毎朝楽しみにしている読売新聞東北総局(仙台市)の記者とデスクの4人が、熱い思いを語り合いました。

空を見上げるヒロインの百音
空を見上げるヒロインの百音

■座談会出席者

大垣 裕(大)48歳、鶴田裕介(鶴)43歳、宇田和幸(宇)31歳、木村友美(木)25歳

「あなたのおかげで助かりました、という言葉は麻薬です」…自分なりに解釈

鶴 いやあ、面白い。毎朝、これを見ないと出勤できない体になってしまった。

宇 鶴さん、「盛り上がりに欠ける」って文句言ってませんでしたっけ。

鶴 最初は確かにそう思った。あまり起伏のないドラマなんだけど、その分、心理描写がすごく丁寧。東日本大震災当日に気仙沼にいなかったことをずっと後ろめたく思っているヒロインの百音(清原果耶)を始め、みんな何かを抱えている。それが毎回、丁寧に解きほぐされていく。視聴率低迷が報じられるけれど、1回や2回じゃ伝わらない、深イイ魅力がある朝ドラです。

木 百音が登米の山でけがをした子供を助けた時、医師の菅波先生(坂口健太郎)が「あなたのおかげで助かりました、という言葉は麻薬です」と言い放つ場面。最初は全く理解できませんでした。でも、菅波先生が言いたいのは「人の役に立ちたい」という百音の気持ちを否定するのではなく、「本当の意味で寄り添うとはどういうことか。広い視点で考えて」というメッセージだと解釈しました。

鶴 菅波先生の言葉は時に鋭すぎる。でも、鋭いからこそ百音の心に突き刺さる。違和感を忘れずに覚えておいて、自分なりに消化する素直さが、成長の種になっているんだろうね。

大 内野聖陽さんの、百音の父親役がたまらない。年頃の娘が気がかりで、でも娘の気持ちを分かっているとは言えない。中継キャスターになった百音を録画して繰り返し見る気持ち、わかるわ~。「パパの枕、臭い」と言われても、娘はかわいいもん。

登米市の森林で語り合う百音(左)と気象キャスターの朝岡
登米市の森林で語り合う百音(左)と気象キャスターの朝岡

「方言がわざとらしい」「発音が違う」言いたい放題

木 百音はそんなこと言いませんけどね……。

宇 僕は気仙沼通信部に2年間勤務して、人のつながりを大切にする風土を感じました。百音が折に触れて家族や友人に電話をするシーンは、気仙沼らしさをうまく捉えています。ただ、漁師の亮(永瀬廉)はイケメンだなあ。もちろん、気仙沼の漁師は皆さん、格好いいんですけど。

鶴 地域発朝ドラ恒例の話題、方言について気仙沼の人々の受け止めはどう?

宇 「方言がわざとらしい」「ここの発音は違うんでねえか」とか言いたい放題言いながら、いつも楽しそうに見ているようですよ。

大 震災で妻を失った亮の父の新次(浅野忠信)が「(成長する息子のことを)話す相手がいないんだ」と泣く場面は、もらい泣きを抑えられなかったよ。

宇 僕も。新次が酒に酔っては保護される様子を見て、妻を亡くした男性の「毎日が東日本大震災」という言葉を思い出しました。

木 私は記者2年目。気象予報士と仕事は違いますが、百音と自分を重ねて見てしまいます。どうやったら人を助けられるか悪戦苦闘する百音を見て、私も自分の仕事の意味について、考え込んでしまいました。

急接近する百音(左)と医師の菅波
急接近する百音(左)と医師の菅波

宇 菅波先生の言う「ド新人の空回り」ってやつか。

木 言い過ぎが許されるのは菅波先生だけです。

宇 ……。

大 最近、百音が菅波先生に「先生、言い過ぎてます」と指摘することが増えた。2人の急接近が目に余り、父親としては気が気でない。

木 子離れも必要ですよ……。

鶴 今は東京編ですが、「おかえりモネ」というタイトルからして、やがて気仙沼に帰るんでしょうね。

宇 やっぱり気仙沼! 10月29日の最終回まで目が離せません。

登米の風景凝縮

登米市のジャズ喫茶「エルヴィン」マスター、安藤吉英さん(72)

 一番気に入っているのは第1回です。登米市の風景がうまく撮影され、全てが凝縮されていました。実は放送開始前、NHKの方々が店に来て、写真を撮ったり、震災後の状況を尋ねたりしていきました。ドラマにジャズ喫茶が登場するということで、その取材でした。結局、コロナ禍のため店でロケはせず、セットで撮影すると連絡がありました。ジャズ喫茶はどこもアクが強いので、ロケをするにも大変だったでしょうね。もちろん、ジャズ喫茶のシーン、よかったです。

気仙沼の応援歌

毎日「おかえりモネ」を4回見る気仙沼市の元教諭、菅原真理さん(71)

 午前7時半、NHKのBSプレミアム。私の一日は「おかえりモネ」で始まる。その後、NHK総合と合わせ、計4回が私のモネタイム。メモを片手に、心に残るせりふを書き写す始末。気仙沼の景色や人々の暮らしが丁寧に描き出されている。何げない日常にこそ人生の真実が隠されているということに気付かされる。被災した気仙沼の風景が美しく描き出され、人々は 安堵あんど する。まさに気仙沼への応援歌だ。

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2321300 0 エンタメ・文化 2021/08/28 10:42:00 2021/08/28 10:56:58 2021/08/28 10:56:58 https://www.yomiuri.co.jp/media/2021/08/20210828-OYT1I50046-T.jpg?type=thumbnail

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