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「自分の心に率直に」鈍感力発揮して元NHK大越健介が臨む「報ステ」

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 テレビ朝日系のニュース番組「報道ステーション」(平日午後9時54分)で、10月4日からメインキャスターを務める元NHKの大越健介さん(60)の取材会が開かれた。大越さんは「声が掛かった時は『おい、マジかよ!?』って思いました」と自身も驚いた転身事情をざっくばらんに明かした。(読売新聞オンライン 旗本浩二)

大越健介・新キャスター(写真協力 テレビ朝日)
大越健介・新キャスター(写真協力 テレビ朝日)

ニュースに携わる仕事再開、NHK同僚が祝福

――「報ステ」から声がかかったいきさつは。

 今回のオファーがあってNHKを辞めたわけじゃないんです。8月には60歳になるので、そこで身をひいて、新しいことを何か始めてみようと、ずいぶん前から決めていた。それで年の折り返しである6月30日付で辞めました。ただ、放送現場の仕事はとても面白いし、実際に卒業する段になってほかに能があるわけでもないので、どこの会社でもいいから放送に携われるならと。でも、「報ステ」キャスターなんて……話を聞いた時は「おい、まじかよ!?」って思いました。

――退職後、どんな過ごし方を。

 英語を勉強しようと本を買ったんですが、速攻で眠りに落ちる体たらく状態でした。この間、何をしていたかといえば、テレビを見ていましたね。ニュースをよく見るようになった。ひいた立場で見ると、こういう切り口は面白いとか分かるんです。ニュースを伝える仕事の大事さを改めて感じました。それだけでも意味がありましたね。

――「報ステ」転身で周囲の反応は。

 NHKの仲間たちが「良かったじゃん」「楽しみだよ」と言ってくれて、それが一番うれしかったですね。ニュースに携わる仕事を再開することをいろいろな人が応援してくれていると思うと、胸がいっぱいになって頑張らなきゃと思いました。

日々の報道は“主食”、ライバルに転身「運命的」

――「報ステ」の印象は。

 報道番組の中ではトップランナー。退職までの1年ほどは「NHKスペシャル」など大型番組の制作にあたってきましたが、もう一度、日々の報道もやってみたいとの思いを抱いてきた。大型番組がごちそうなら、日々のニュースは大事な主食、コメなのかな。そこに戻れることは幸せです。

新しい番組ロゴ(写真協力 テレビ朝日)
新しい番組ロゴ(写真協力 テレビ朝日)

 「報ステ」の切り口や視点、解明しようとする攻めの姿勢に刺激を受け、ライバルであり越えたい存在でした。そこに席を移すことになり運命的なものを感じています。影響力の大きな番組なので、たじろぐ気持ちもありましたが、この機会を逃すことは自分の人生ではありえないとトライさせてもらいました。

――キャスターを務めていた「ニュースウオッチ9」などNHKの報道番組との違いは。

 公共放送も民放も放送法に基づいて存在している非常に公共的な性格の強い仕事なので、根っこの部分はそんなに変わらない。堅いイメージのNHKから、くだけた民放へ移るとの意識ではなく、ステップを進めることができたということです。

 キャスターワークとしては、大きな違いは感じないです。1時間を超える大型報道番組は圧倒的にVTRの力が大きい。キャスターは私見を披露したり、自分の主義主張を振りかざしたりするものでなく、チーム全体として紡ぎ出した取材内容を視聴者に届けるための水先案内人。誰がキャスターをやってもその役割は変わらない。ただ、「報ステ」はVTRの狙いがはっきりしている。伝える側はつい総花的になりがちだが、「報ステ」はどこを掘り下げるのか意図が明確ですね。

ズバズバ聞く久米宏に「そんなことまで…」

――印象に残る「報ステ」キャスターは。

相方の渡辺瑠海アナ(写真協力 テレビ朝日)
相方の渡辺瑠海アナ(写真協力 テレビ朝日)

 (前身の)「ニュースステーション」で久米宏さんが、スタジオ出演した政治家相手に丁々発止のやり取りをしていて、政治部記者の自分としては「そんなことまで聞くの?」みたいな感じだった。ふだん取り巻きとして記者をやっている人間には、近すぎて聞けないことをずばんずばんと聞く。それで怒り心頭になってスタジオから出て来た政治家に、「おまえら飲み行くぞ」と連れられて、さんざん番組の悪口を聞かされたことも。ずいぶん思いきった番組だとは前から思っていました。

 ぼくは行儀がよく、まじめなNHK出身なので……。でもそういう気風みたいなのが「報ステ」にはあると思います。 忖度(そんたく) なしで行くのはとても大事なので、自分の心に率直に、見ている人は「ここを突いてくれ」と思っているんじゃないかと想像力をたくましくしながら、その声を受け止める形でゲストに対応しようと覚悟しています。

――「報ステ」をどう変えていきたい。

 いい意味での化学反応が起きればいい。キャスターには、取材・制作する人間と視聴者の接点に立つ人間として、両者をつなぐ言葉を紡いでいく役割がある。自分がいることによって、結果的に番組が「より心に入ってくるようになった」と言われるよう自分を鍛えたい。スタッフに信頼してもらわないとしょうがないので、「このおっさんの言うことを聞いていれば、結構いいことあるじゃん」と思ってもらえるようなコミュニケーションを取って、番組全体が分かりやすく、深く、カラフルに伝わるようになればいい。

「危機の入り口」に立つ地球、その現場へ

――自身はどんな取材をしてみたい。

 目の前の政局やコロナ対策などはもちろんですが、地球全体が温暖化などもっと根源的な問題により、「危機の入り口」に立っている気がしています。地球が直面しているそれらの大きな問題に対して、よりよい方向に進めるような知恵や工夫、そういうものがある現場に行ってみたい。

 政治家には、地球をどっちの方へ持って行くんですかという大きなテーマを問いたい。総選挙など当座の問題を一生懸命、報道するのはあたりまえですが、その先の我々の社会をどう築いていくべきか、長いレンジの話を問いかけていきたい。

――番組に圧力がかけられた時、どう 対峙(たいじ) するか。

「その日その日のニュースは、400メートル走のイメージ」と語る。「短距離だけど長い。緊張感がたまらないんです。一度はまるとやめられない」(写真協力 テレビ朝日)
「その日その日のニュースは、400メートル走のイメージ」と語る。「短距離だけど長い。緊張感がたまらないんです。一度はまるとやめられない」(写真協力 テレビ朝日)

 今どき日本で露骨に圧力をかけてくる局面があるのかどうか。大事なのは、我々自身が圧力をかけられていると感じるかどうかということ。「忖度」みたいな言い方をするが、圧力をかけられてもいないのに、かけられていると勝手に感じてしまう心理だってゼロではない。そこで問われるのは「鈍感力」。仮にそんな雰囲気があったとしても、そんなのかけられてないよねと思っていればいい。そこは鈍感力の勝負だと思います。自分たちが築いてきた自由で民主的な日本の社会にもっと自信を持っていい。

どんな相手も話をすれば「好きになってリスペクト」

――キャスターとして貫きたい信条は。

 「平たい言葉」で伝えていきたい。それには二つ意味があります。社会の複雑な動きについて取材を深めていくと、だんだんシンプルに物事が見えてきて、簡潔にまとめることができるようになる。つまり、平易な言葉で伝えられるように取材を深めたいという意味が一つ。

 もう一つは取材姿勢の問題ですね。上から目線でお説教がましく言うわけでもないし、一方で下から上をにらみつけるようにして「反権力」と言っていれば、それで仕事をした気分になるということでもなく、どんな相手であろうと、一人の人間としてリスペクトしてフラットな視線で相手と向き合う。それが平たい言葉につながっていくと思う。

 僕は向き合う人をすぐ好きになっちゃうんです。どんな立場の人でも話をすると、ほれっぽいというか、リスペクトするタイプです。その人と向き合うとだいたいその人が好きになっちゃうんです。好きになると向こうも邪険にはしないし、通じ合うことがわりとできるかな。

大越健介  1961年生まれ、新潟県出身。東大在学中に野球部のエースとして東京六大学野球で8勝を挙げ、85年にNHKに入局。政治部記者を経てワシントン支局長などとして活躍。2010年から5年間、NHKのニュース番組「ニュースウオッチ9」でキャスターを務めるなどした。

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