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【前編】「遺産狙う女」から「良い奥さんもらった」へ…はこちら
「乗り越えられたから幸せな今がある」と語る綾菜さん(東京都渋谷区で)
広島県福山市出身のタレント、加藤綾菜さん(33)は、コメディアンの加藤茶さん(78)との「年の差婚」をした10年前、ネット上で容赦ない言葉を浴びていた。今では介護や料理を学んで茶さんを支える献身的な姿が配信動画から伝わる。夫婦を応援する温かい声も届く。それにしてもあの頃、ネット上の言葉の暴力に耐える力の源は何だったのか。(岡田優香)

「中学生のとき、いじめられとった。あの経験をしたら、何でも乗り越えられるんよな」。綾菜さんは、実家から電車に2時間揺られて通った県外の学校生活を話し始めた。
入学当初は友達がいた。ところが、いつしかクラスメートに無視されるようになった。立っているだけで後ろから蹴られ、食べかけのカップラーメンを頭からかけられることもあった。居場所がなく、お昼休みは弁当箱を抱えてトイレに駆け込んだ。
「なんでこんなことになるんじゃろ」。教師への相談も考えたが、いじめがさらにひどくなる気がして、言い出せなかった。
そんなある日の休憩時間。自分の机にカッターナイフが置かれていた。黒板の前で一人の女子生徒が言い放った。「死んどきや」。その言葉を聞き、怒りと捨て鉢な気持ちがない交ぜになった。「手首を切って死ね、ということ? 死んでやる」。ところがナイフに手を伸ばした瞬間、ふいに母の言葉が頭をよぎった。
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