読売新聞オンライン

メニュー

ニュース

動画

写真

スポーツ

コラム・連載・解説

発言小町

漫画

教育・受験・就活

調査研究

紙面ビューアー

その他

サービス

読売新聞のメディア

購読のお申し込み

読売新聞オンラインについて

公式SNSアカウント

宝塚最高峰の「歌うま」真彩希帆、退団後に明かした役作り「自分の心の声信じてる」

スクラップは会員限定です

メモ入力
-最大400文字まで

完了しました

「自分が生きていて幸せだなと思える道を」と話す真彩希帆さん
「自分が生きていて幸せだなと思える道を」と話す真彩希帆さん

 4月まで宝塚歌劇団の雪組トップ娘役を務めた 真彩希帆まあやきほ さんは、トップスターの 望海風斗のぞみふうと さんとともに「最高峰の歌うまコンビ」と言われた。その真彩さんが、Kis-My-Ft2の 藤ヶ谷太輔(ふじがやたいすけ) さんらとの舞台「ドン・ジュアン」出演に合わせて読売中高生新聞のインタビューに応じ、「自身の中学生時代」や「役作りの方法」を明かした。さらに、親世代が読んでも納得の「夢をかなえるためのメッセージ」を語ってくれた。(読売中高生新聞)

 【プロフィル】1993年7月7日、5姉妹の4女として埼玉県蕨市で生まれ育つ。宝塚歌劇団OGが主宰する「子どもミュージカル ラビコ」出身。2012年に宝塚歌劇団へ入団し、17年7月から3年9か月にわたって雪組トップ娘役。「ファントム」クリスティーヌ・ダーエ役、「20世紀号に乗って」リリー・ガーランド役などを好演した。ミュージカル「ドン・ジュアン」は、11月6日までTBS赤坂ACTシアターで公演中

中学時代は「へんてこな子」

――真彩さんは、高校1年の時、2度目の受験で宝塚音楽学校に合格しました。その前の中学時代は、どんな生徒でしたか?

 “へんてこな子”だったと思います。人を喜ばせることが大好きで。「エンターテイナーになりたい!」と思っていたんです。

 歌うこと、表現することが大好きで、宝塚の舞台に立ちたいとずっと思っていました。父からよく言われましたよ、「勉強しろ、勉強しろ」って(笑)。

――全然、「へんてこ」感はないですね。

 ほんとですか? 相当、変でしたよ。休み時間、職員室に行って先生を質問攻めにしたり。音楽とは全然、関係のない国語とか、いろんな先生です。先生とばかり話してた。変な子でしたよ(笑)。

――そういう日々が、今につながっている部分はありますか?

 あるかもしれません。私、人見知りをしないし、人に質問するのがすごく好きで。「私の知らないことをこの人は知っているんだ」というのが、とっても好きです。それは今でもそうですね。わからないことがあったら、「恥ずかしい」などと思わずに、聞く。「聞かないほうが恥ずかしい」と思っています。

 本を読むことも、どこかに行って学ぶことも、もっと大切だと思っていますし。なんだろう、本当に知りたいんです、自分が知らないことを。それって、子どもの頃からずっとそうなので。その姿勢は、今の自分にもすごく生きているなと感じます。

「気持ち、誰にも負けないぜ!」

――夢をかなえるために、どんなことをしていましたか?

「歌劇の道に進むにはどうしたらいいか」と毎日考えていたという真彩さん
「歌劇の道に進むにはどうしたらいいか」と毎日考えていたという真彩さん

 ものすごくイメージしました。「歌劇の道に進むにはどうしたらいいか」と毎日、妥協なく真剣に考えていました。勉強は全然好きではなかったけれど、「歌が好きな気持ち、歌がうまくなりたい、舞台に立ちたいという気持ちは、同年代の誰にも負けないぜ!」と思って過ごしていました。

――その気持ちをどんな行動に移しましたか?

 これは夢を「かなえるため」というより、楽しいからやっていた部分もありますが、「英語の曲を全部カタカナに聞きおこす」ということはしていました。どうやったら歌えるようになるかなという、ゲーム感覚です。難しい音程や歌詞は、何回も巻き戻して同じ声を出して……と。

――どんな作品を? 例えば、ミュージカル「アニー」の曲などでしょうか。

 「アニー」は曲がわかりやすいので、そういう聞きおこしはしていないです。でも「モダン・ミリー」の“What Do I Need With Love?”はやっていた記憶が……。有名じゃなくても、自分が好きな曲。女性に限らず、男性が歌う曲も。よく知らないミュージカルだけど曲が好きでひたすら練習していたら、その5、6年後になって日本に初上陸した作品のテーマソングだった、ということもありました。

―― 海宝直人かいほうなおと さんも幼い頃、同じことをしたと聞いたことがあります。真彩さんは中学生の時に?

 小学生からずっとです。小3ぐらいから歌詞をカタカナで書いて、サラ・ブライトマンさんのモノマネをしたり。シャルロット・チャーチという「天使の歌声」と言われた女の子のモノマネも。

 モノマネはかなりたくさんやっていて、日本の曲では、山口百恵さん、薬師丸ひろ子さん、八神純子さん、久保田早紀さん、美空ひばりさん……。父がフランク・シナトラを好きだったので、それもよく聴きました。

「私小さい!」実感、娘役志望に

――「勉強しろ」と厳しかったお父さまも、娘が一緒にフランク・シナトラを聴いてくれるのは、うれしかったでしょうね。

 いや~どうでしょうね(笑)! 「勉強しろ」ばかりでしたもん。私が家のCDデッキで同じ曲ばかりリピートしたりして、晩ご飯ができるまでずっと聴いていたから、仕事から帰ってきた父が「またお前は……勉強しないなら本を読みなさい!」って、すごく怒られましたよ(笑)。その言葉を受けて、本は1年で100冊以上は読んでいました。

 でも、父も母も子どもの頃から私がやりたいと言ったことは全部やらせてくれましたし、応援してくれました。宝塚に入った後、冗談まじりに「本当に入れるとは思っていなかった」って言われましたけど(笑)、いつも私のやることを誰よりも信じてくれていました。

――宝塚音楽学校への入学前に市民ミュージカルで活躍していたそうですが、いつ頃から参加しましたか?

 小学3、4年から、中学3年まで、と言ったほうが正しいのかも。高1は宝塚の受験がメインでしたので。年に1回公演する女の子だけのミュージカルです。中学の時には男役をしていました。男役で宝塚を目指していた私の意志を先生も酌んでくださって。身長も比較的高くて163・5cmほどでしたから。

 「星の王子さま」の飛行士、「オズの魔法使い」のカカシ、「キャッツ」もやりました。毎年、自分が何の役をやるのか楽しみで。一生懸命、頑張れば頑張るほど、大きな役をいただけて。でも、実際に中3で宝塚を初めて受験したら、周りはみんな170cm台ばかりで「私小さい!」って(笑)。翌年は娘役志望で合格しました。

人もモノも丁寧に、愛車の名前は「チャロ」

――女子だけの市民ミュージカルだったということは、今回、宝塚退団後、初のミュージカル「ドン・ジュアン」は、人生初の男性との舞台共演に?

 はい、初めてです。

――よく聞かれる質問だと思いますが、男性と演じる舞台の感想を教えてください。

 たしかに聞かれます(笑)。でも私は、そもそも人というものを「男性」「女性」という視点では見ずに「人間」として見ています。

公演中のミュージカル「ドン・ジュアン」でマリア役を演じている真彩さん(10月21日、東京都港区のTBS赤坂ACTシアターで)
公演中のミュージカル「ドン・ジュアン」でマリア役を演じている真彩さん(10月21日、東京都港区のTBS赤坂ACTシアターで)

 へたをすると、動物やモノに対しても全部一緒で。愛車にも名前をつけています。「チャロ」っていいます。運転する時には「おはよう、かわいいねぇ! 今日もよろしく」みたいに声をかけたりとか、モノであっても丁寧に扱うといいますか。

 なので今回、「男性と歌うから」みたいには考えていないかもしません。もちろん、とてもエネルギッシュだと思うんですよ、やっぱり性別を考えると。でも、その人の中身というものに、とても興味があります。年齢も関係ないです。「年が離れている」「若い」とかではなく、その人の魂がどれだけ全力で生きているか、というところに興味があるので。そういう意味では、「ドン・ジュアン」では、とてもいいカンパニーに出会えたと思っています。

主演の藤ヶ谷太輔さんの印象は…

――主演の藤ヶ谷太輔さんはどんな「人間」ですか?

藤ヶ谷太輔さんが主演を務めるミュージカル「ドン・ジュアン」
藤ヶ谷太輔さんが主演を務めるミュージカル「ドン・ジュアン」

 初めてお会いした時、「物事に 真摯(しんし) に向き合う (かた) だな」と感じました。その第一印象はいまも変わりません。人に対して、とても丁寧な方です。

 絶対に土足で入らないと言いますか……。それが、意図してそうなのか、無意識にそうなのかはわかりません。でも、少なくとも私はとても助けられていますし、それと同時に、「昔からよく話していたお友だちなんじゃないか」というぐらい、すごくいろんなお話もさせてもらっています。それが、カンパニーのみんなも藤ヶ谷太輔さんの好きなところの一つでもあると思います。とてもジェントルマンです、本当に。

――それは「コミュニケーションが丁寧」と言い換えられますか?

 コミュニケーションも丁寧ですし、芝居、作品に対して向き合う姿勢も丁寧です。それでいて、人に対しての触れ方、話し方が、とても気さくな方です。嫌な気持ちにまったくさせない人です。

「舞台の神様」をとても信じている

――その藤ヶ谷さん演じるドン・ジュアンを“真実の愛”に目覚めさせるのが、今回、真彩さんが演じる彫刻家マリアです。彫刻という芸術にまっすぐ向き合う姿勢は、真彩さんの歌や舞台への向き合い方と重なるように思えます。

息の合った演技を見せる真彩さん(右)と藤ヶ谷さん(10月21日、東京都港区のTBS赤坂ACTシアターで)
息の合った演技を見せる真彩さん(右)と藤ヶ谷さん(10月21日、東京都港区のTBS赤坂ACTシアターで)

 ありがとうございます。私、「舞台の神様」をとても信じている人間で。なおかつ「自分の心の声」も、ものすごく信じているんです。直感ともいうのかしら。

 マリアの 台詞せりふ に「石の声を聞く」というものがあります。石と対話しているんです。マリアにとって、彫像・石像との会話は自分との会話であって。2人が出会うシーンで、騎士団長の顔を彫ろうとしているマリアが「ずっと待っているんだけど、この子(石像)は黙り込んでいる」と言います。

 「これは役作りと一緒だな」と思います。すんなりできる時もあれば、ずーっと待っていて、これってどうなんだろうと考えても考えても、浮かび上がってこない役の時もあります。

――「石には声があるの。記憶も思い出も心もある。その石の声に従って彫っていくの」という台詞。

 そうです。そして、「私はこの子とずっと話そうとしているんだけど、この子は黙り込んでいるんだ」って。私、宝塚の時から役に対して「この子」ってよく使っていたんです。お稽古の中で「このマリアという子は」みたいに。なので今回、(宝塚歌劇団所属で、本公演の潤色・演出も担当する) 生田大和いくたひろかず 先生が台詞を「この子」にしてくださったんです(笑)。

――ますます真彩さんとマリアは重なります。

 本当に重なりますね。私も役作りをする時に、役の子に問いかけますので。「どう考えているの?」「どうありたいの?」「今何を思ったの?」って。人から見たら、何か変ですよね(笑)。でも私としては、それが当たり前で。

 お芝居の時以外でも、自分自身に聞くことがあります。自分の中にいる“小さな子ども”と対話するんです。「ほんとはどうしたいの?」と。自分の心に素直であるために、自分の心に (うそ) をつかないために聞く。

 それは「自分を大切にする」ということでもあります。周りの人の目を気にしてとか、「こう思われたらよくないな」とかどうしても考えてしまう中で、本当に自分が心から納得して何かをできているかどうか。大人も子どもも関係なく、そういうものはやっぱりみんな大切にしていけたらいいかなと思います。

夢をかなえるために

――11月には故郷の埼玉県蕨市で、「夢を かな えるために」と題してチャリティートークショーを開催されます。子どもたちにどんなメッセージを伝えるか、一足先に、読売中高生新聞の読者に教えてください。

 自分がやりたいこと、「これ楽しい」って思うものを突き詰めてみたらいかがかしら、と思います。私は本当に、極端にそれをやってきた人間で。歌うのが好き。じゃあ、とことん歌ってみようぜという感じで生きてきました。

通し稽古を終え、「毎日がとても幸せ。千秋楽まで無事に届けられるように精いっぱい頑張ります」(右=真彩さん)、「毎日命を削って、その日できることすべてを出すつもりでやっています」(藤ヶ谷さん=中央)、「ミュージカル、演劇、エンターテインメントの力を皆さんにお届けしたい」(鶴見辰吾さん=ドン・ルイ・テノリオ役)
通し稽古を終え、「毎日がとても幸せ。千秋楽まで無事に届けられるように精いっぱい頑張ります」(右=真彩さん)、「毎日命を削って、その日できることすべてを出すつもりでやっています」(藤ヶ谷さん=中央)、「ミュージカル、演劇、エンターテインメントの力を皆さんにお届けしたい」(鶴見辰吾さん=ドン・ルイ・テノリオ役)

 なんでもいいんです。私の中学生の おい っ子がいま、作曲やドラムが大好きなんですけど、すごく才能があると個人的に思っていて。作曲、作詞したものを送ってくれて、聴いてみたらすっごくいい曲だったりして。うわぁ、いい才能だなと思います。

 もともとレスリングをやっていたんですけど、「人と戦うのが嫌だ」と。それで、姉が「やりたいことは何?」と聞いたら「ドラムみたいな、音楽に関わることがやりたい」。じゃあと言って、ピアノを習ったらもう作曲を始めたり作詞したり。そういう人が私の身近にはいるんです。

 やっぱり、いつから始めるとか、全然遅いことは何もなくて。やりたいと思った時がやり時だと思うので。小さい頃からやっていないから私はダンスが踊れないとか、ないです。勉強もそうです。やりたいことが見つかった時に、全力で、真剣勝負で、どれだけ向き合えるか、ということが将来の自分を作ることだなと思っています。楽しいこと、やりたいことがわからないという子は、それでもいいんです。ずっと寝ていてもいいし、学校に行っていないのなら行かなくていいんです。そんなの、いいのいいの。気にするべきは世間の目ではないです。

 自分が生きていて幸せだなと思える道を選んだらいい。ふとした時に、「あ、なんかこれっていいかも」って。

 例えば、道ばたをお散歩していて季節が気になって、「お天気ってどうなんだろう」と広げてもいいと思うし、「じゃあ、地面で生きている虫ってなんだろう」とか、なんでもよくないですか? 世の中にごまんと職業があるわけで。いろんな人に自分が本当にやりたい仕事に就いてもらうことが、日本をよくしていく一歩なんじゃないかなって思うので。将来にすごく可能性がある人たちです、子どもって。可能性にあふれていると思います。

 決して自分の心に嘘をつかないで、いろんなことに向き合っていってほしい、チャレンジしてほしいなと思います。本当に心からやりたい、何を捨ててでもいいからやりたいと思ったことに挑戦する人。私は本当に全力で応援しています。

――今の話を聞いていると、真彩さん自身も全力、真剣勝負の道の続きをいまも歩き続けているのかなと。

 はい。本当に。常にそうです。生きている中で真剣勝負、全力で生きている人間です。暑苦しいかもしれないし、そうじゃない人からすると理解できないタイプかもしれないですけど……。人は常に死と隣り合わせで、いつ命の火が消えるかわからないと思っているので。

 私自身、自分のために生きているというよりも、なぜこの職業に就けたか、何か意味があるんだろうなと思って生きています。「人に喜んでもらうために生きていけたらいいな」と本当に常々考えているし、これからもきっと、それを考えて生きていくんじゃないかと思っています。(聞き手・森田啓文)

無断転載・複製を禁じます
スクラップは会員限定です

使い方
2462925 0 エンタメ・文化 2021/10/22 14:15:00 2021/10/22 16:44:19 2021/10/22 16:44:19 https://www.yomiuri.co.jp/media/2021/10/20211019-OYT1I50081-T.jpg?type=thumbnail

ピックアップ

読売新聞購読申し込み

読売IDのご登録でもっと便利に

一般会員登録はこちら(無料)