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前橋市出身の詩人・萩原朔太郎(1886~1942年)の代表作「月に

1917年に自費出版された初版は、発売直前に政府から「風俗壊乱」と注意を受け、収録していた「愛憐」と「恋を恋する人」を削除して刊行された。「無削除版」が10冊ほど現存し、うち1冊が昨年12月、市に寄贈されたことから、朔太郎の没後80年に合わせて朗読劇を制作した。
朗読劇「さんにんふたくみ」には8人の俳優らが出演。20歳代後半に朔太郎が帰郷した場面から始まり、既婚者への片思いに葛藤する姿や、詩集の挿絵を描いた田中恭吉の死、2編の削除を巡る政府の検閲を経て刊行を遂げるまでを演じた。原文や挿絵を背景に東出さんらが詩を読み上げると、観客約480人は聴き入っていた。
東出さんは「陰も陽もある朔太郎の気質は一言で言い表せず、観客が内心を想像する余地が残るように演じた。前橋が生んだ日本史に残る文学に興味を持つきっかけになればうれしい」と話した。藤岡市の会社員(48)は「迫力の演技で、詩集を作る当時の熱量が伝わった」と感動していた。