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徳島市出身の作家で僧侶の瀬戸内寂聴さんの納骨式が同市国府町の四国霊場十七番札所・井戸寺で営まれた15日、約160人の参列者が遺影に向かって手を合わせ、生前の姿に思いをはせていた。

寂聴さんは生前、井戸寺に完成した納骨堂のデザインを気に入り、姉の孫にあたる瀬戸内啓資さんを通じ、納骨を申し入れていたという。15日は寂聴さんの誕生日で、啓資さんは「寂聴さんは(納骨堂の)ピンクのオブジェがかわいくて『私も入りたい』と言っていた。無事、古里に納骨できてうれしい」と話した。
50年以上にわたるファンだという徳島市の主婦(83)は寂聴さん直筆のサインが入った著書「嵯峨野より」を大事そうに手にし、参列。45年程前、京都市の寂庵を訪ねると、面識がなく突然の来訪だったにもかかわらず、寂聴さんは優しく迎え、本にサインし、写経も共にした。
主婦は「男女の愛とは別に目の前の人を一人の人間として愛するのよ、と講話をしてくれたことが忘れられない。サインと、寂庵で過ごしたひとときは一生の宝物」と懐かしんだ。寂聴さんが館長を務めた県立文学書道館の富永正志館長は、「原稿の締め切りを気にせず、故郷で安らかに眠ってください」と語りかけた。