100年前に「日本船がギリシャ難民救った」はホントか…欧米の新聞で紹介、現地でアニメ化も

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 1922年(大正11年)、戦下のトルコの港湾都市で、日本船が多くのギリシャ人ら難民を救った――。そんな人道支援が当時、欧米の新聞などで紹介されたが、日本では公的な記録や報道が乏しく、史実かどうかも不明となっている。今年で100年の節目を迎え、研究者が情報を求めている。

トルコの港湾都市イズミル=村田教授提供
トルコの港湾都市イズミル=村田教授提供

 第1次世界大戦(1914~18年)で、現在のトルコを支配していたオスマン帝国が敗北。戦勝国となった隣国ギリシャはトルコ西部の港湾都市・イズミル(ギリシャ名・スミルナ)を占領し、ギリシャ・トルコ戦争が勃発した。しかし、後にトルコ共和国を樹立するムスタファ=ケマル率いる革命政府の反撃にあい、22年9月、スミルナはトルコ軍によって奪還された。

 当時の欧米の新聞は、スミルナで火災が発生し、逃げ場を失ったギリシャ人やアルメニア人を日本船が助けたと報道している。日本は同戦争で中立の立場だったが、他国の船が自国民の救助を優先する中、日本船は積み荷を捨ててまでして難民を乗せ、トルコ側の引き渡し要求にも応じなかったという。

村田奈々子・東洋大教授
村田奈々子・東洋大教授

 この出来事を研究する村田奈々子・東洋大教授(ギリシャ近現代史)には、ギリシャ人から「『日本人に救助された』と祖父母に聞いたことがある」などの情報が届く。同国ではアニメの題材になるほど有名な話だが、日本の情報は少ない。村田教授は「現地で口頭で伝わる事件が史実だと証明するには、日本側の資料が不可欠」と話す。

 村田教授によると、当時の欧米の新聞には「Tokeimaru」と記されており、当時、日本の海運会社が所有していた「東慶丸」という船が、スミルナからアテネ近くに出港した記録も確認された。今年になって22年9月の日本の海運雑誌で「日比左三」という船長の名前も突き止めた。

 歴史的な人道支援では、1890年に和歌山県沖で遭難したトルコ船の船員らを助けた「エルトゥールル号遭難事件」や、第2次世界大戦中にナチス・ドイツに追われたユダヤ人にビザを発給した杉原千畝の活躍などが広く知られるが、スミルナの出来事は未知の部分が多い。村田教授は「100周年のタイミングを機に、関心を持ってもらえれば」と話している。

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3018594 0 エンタメ・文化 2022/05/21 14:30:00 2022/05/21 15:24:53 2022/05/21 15:24:53 https://www.yomiuri.co.jp/media/2022/05/20220521-OYT1I50073-T.jpg?type=thumbnail

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