憧れは緒方貞子さん。ビジネスで紛争の再発も防ぎたい

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 ウガンダのシングルマザーたちが手作りしたアフリカ布製のバッグを製造・販売している「RICCI EVERYDAY」(リッチー・エブリデイ)の創業者、仲本千津さん(35)を講師に迎えた「読売Bizフォーラム東京」が2020年1月10日、東京・大手町の読売新聞東京本社で開催される。カラフルで大胆なデザインが特徴の同社のバッグは、品(ぞろ)えも豊富で女性に大人気だ。フォーラムに先立ち、ウガンダからこのほど帰国した仲本さんに参加者に伝えたいポイントを聞いた。(調査研究本部主任研究員 高橋徹)

仲本千津さん
仲本千津さん

――アフリカとの関わりは。

仲本氏 子供の頃から「世界でなぜ紛争や戦争が起こるのか」ということに興味があり、高校1年の時に、先日亡くなった元国連難民高等弁務官の緒方貞子さんの存在を知り、彼女のように将来は紛争問題の解決のために役立ちたいと思っていた。大学院で国際関係学を専攻し、アフリカの紛争問題を研究した。学生時代にいくつかの非政府組織(NGO)でインターンを経験し、社会課題をビジネスの力で解決していくというアプローチがとても面白く、草の根活動の影響力の大きさも実感することができた。いつかはアフリカで働き、地域に貢献したいと考えていた。

――就職の際に考えたことは。

仲本氏 国際関係の仕事というと、まず浮かぶ のが、国際協力機構(JICA)や国際協力銀行だが、これらは政府系の機関なので、やはり日本の国益というものが優先されると思った。国際連合の職員になることも念頭にはあったが、国連も極論すれば、常任理事国(米国、ロシア、中国、英国、フランス)の利害調整の組織だと考えると、それも自分がやりたい方向性とは違うかなと。就職に当たって、いろいろ悩んだ末、まずは社会を知ることが先決と思い、大手メガバンクに入行した。将来、起業することも考え、お金の流れや生きた経済を学ぼうと思った。銀行では法人営業の部門に配属され、中小企業の財務などに関わる仕事を担当した。このころの経験が起業の際に非常に役に立っている。

――ウガンダに興味を持ったのは。

仲本氏 銀行を退職後、アフリカで仕事ができる職を探していたところ、日本財団系列のNGOがエチオピア、マリ、ナイジェリア、ウガンダなどの国々で農業支援を行っていることを知り、転職した。最初は東京オフィスに2年半在籍し、アフリカと日本を行ったり来たりしながら、団体の経営企画を担当。財務から人事、広報まで全方位で業務に携わっていた。

 訪問先の中で、ウガンダに魅力を感じた。ウガンダは内陸に位置し、ナイル川の源流があり、土地が肥沃で東アフリカ屈指の農業国だ。2014年にウガンダ駐在が決まり、平日は農業支援の仕事をし、週末や空いた時間で各地を動き回っていた。たまたまアフリカンプリントに出合って、「これは可愛い。ビジネスチャンスになるかもしれない」と直感的に思った。その頃、友人の知り合いでウガンダ人のシングルマザーに出会った。4人の子供を抱えながら、学校に行かせる教育費を捻出できず、困っていたので何かできないかと考えた。彼女には職業訓練校に通ってもらい、裁縫技術を身に付けてもらった。そうしたら、同じ訓練所で裁縫が上手な女性たちが「仲間に入れてほしい」と申し込みがあり、彼女たちも雇って、15年にカンパラ市内に小さな工房を開設した。聞いてみたら、皆シングルマザー。彼女たちが安心して仕事ができ、収入を得て子どもの未来につなげる仕組みが必要だと感じた。

 ウガンダでは省庁間の連携が機能しておらず、起業に必要な行政手続きが、完了するのに1年ほど時間がかかってしまうくらい煩雑だ。ウガンダでどういうアプローチと準備をして起業したかについては、フォーラムで詳しくお話ししたい。

――ウガンダ人を雇用する上で気をつけていることは。

仲本氏 紛争地域がどのように過去を乗り越えて、紛争の再発を防げるかについて研究した結果、たどり着いた結論は一人ひとりが生活基盤を持ち、日々の生活に幸せを感じられるようになることではないか、ということだった。この仮説に基づき、当社は一緒に働いている女性たちが幸せでいることを重視し、現地の水準の2~4倍の固定給を支払ったり、福利厚生を手厚くしたり、自己肯定感が高まるような施策を打ったりしている。バックは手作業で一つのチームとして製造している。従業員は対等なパートナーであり、何より従業員を一番大事したいと考えている。

――ウガンダの将来についてどう見ているか。

仲本氏 ウガンダの人は日本人に比べて、時間の流れが遅く、それほど高い生産性を求めることが難しい。また、何かを自力でやろうというハングリー精神が希薄だと感じることが多い。働き場がなく、大人でもふらふらしている人がまだ多い。このままだといつまでも「搾取される側」から抜け出せない。雇用主側はそこにつけこもうとせず、まずは健全に安心して働ける場所を作り出すことが重要だと思う。

――フォーラムで参加者に伝えたいことは。

仲本氏 ビジネスの方はようやく種まきが終わった段階。販路の拡大を含めて、これからやりたいことはたくさんある。参加者の皆さんからもアドバイスをいただきたい。

 アフリカは21世紀で最も人口が増える地域で、現在の13億人が2050年には倍増するという。年齢も当然若い。先進国の基準に照らせば、アフリカは取り残された大陸という見方もあるが、そういうところにこそ多くの可能性があり、再評価されるべきだということを様々な事例をもとにご紹介したい。

【開催概要】
タイトル :読売Bizフォーラム東京2020
 ソーシャル・イノベーションの旗手たちvol.1
 仲本千津「起業で社会を変える-アフリカ・ビジネスへの挑戦で見えたこと」
開催日時:2020年1月10日(金)19時~20時45分(開場18時30分)
会  場:読売新聞ビル3F新聞教室(東京都千代田区大手町1-7-1)
プログラム :<プレゼンテーション>
 「起業で社会を変える-アフリカ・ビジネスへの挑戦で見えたこと」
   RICCI EVRYDAY代表取締役 仲本千津さん
:<トークセッション>
 「グローバルな社会課題に向き合う-アフリカ・マーケットの可能性」
   RICCI EVRYDAY代表取締役 仲本千津さん
   コモンズ投信会長 渋澤健さん
  質疑応答 ※質疑応答後、名刺交換のお時間を設けます
定  員:100名(満席になり次第販売を終了します)
受講料 :5,500円(税込み)
 ※来場者全員にRICCI EVERYDAYオリジナルトートバッグを
 プレゼントします。
申し込みこちら から
主  催:一般社団法人 読売調査研究機構
後  援:読売新聞社

講演者プロフィル

仲本千津(RICCI EVERYDAY 代表取締役)
 1984年静岡県生まれ。一橋大学大学院修了後、邦銀で法人営業を経験。その後、国際農業NGOに参画し、ウガンダの首都カンパラに駐在。そこで出会った女性たちと、日本に暮らす母と共に、アフリカンプリントの布を使用したバッグやトラベルグッズを企画・製造・販売する「RICCI EVERYDAY」を創業。2015年に日本法人、2016年に現地法人、そして2019年に東京・代官山に直営店舗をオープン。2016年第1回アフリカ起業支援イニシアチブ最優秀賞、2017年日本イノベーター大賞特別賞などを受賞。

※お申し込みは先着順です。定員に達し次第、受付終了となります。
※お申し込み後のキャンセルや払い戻し、ご参加いただけなかった場合の事後の払い戻し等はいたしておりません。
※オリジナルトートバッグはご来場者のみへのプレゼントとなります。
※企画内容、時間などは予告なく変更になる場合があります。
※講師の急病や天災、その他のやむを得ない不可抗力の事態が生じた場合には、当日でも講座を中止する場合があります。

 「読売Bizフォーラム東京」は、読売新聞社と一般社団法人 読売調査研究機構が企画・運営する旬のトピックをテーマとする講座です。

無断転載禁止
962724 0 読売Biz フォーラム 2019/12/20 17:10:00 2019/12/23 15:27:15 https://www.yomiuri.co.jp/media/2019/12/20191219-OYT8I50082-T.jpg?type=thumbnail

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