[ポケットに1冊]第8監房 柴田錬三郎著、日下三蔵編

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 虚無的で美しい剣士を主人公とする『眠狂四郎無頼控』シリーズなど、剣豪小説で人気を集めた柴田錬三郎(1917~78年)。時代物のイメージが強いこの作家は、現代を舞台とする小説も書いている。52年に直木賞を受けた「イエスの すえ 」は、女性を義理の祖父が刺し殺した事件の背景を、複数の人物の視点で語り直した作品だった。

 本書は現代物のミステリーやサスペンスを集めた。ひそかに思いを寄せる女性のために一肌脱ぐ男を描いた表題作、連続殺人事件の犯人とされた男の告白を巡る「神の悪戯」、戦争の裏側を記した“秘録”にまつわる「日露戦争を起した女」……。1950年代を中心に書かれた収録作を読み進めると、登場人物たちの異常な心理に胸がざわついてくる。

 実話風の作品も、作家の想像力が加わり、異様な すご みを持つ「物語」へと昇華されている。“話の種”が、どのように成長していったのか――。そんな想像をしながら読むのも楽しいだろう。(ちくま文庫、924円)(律)

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2685272 0 コラム 2022/01/21 05:25:00 2022/01/21 05:25:00 https://www.yomiuri.co.jp/media/2022/01/20220117-OYT8I50016-T.jpg?type=thumbnail

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