どっち派? 米国文学と英国文学

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 古典の名作から、大人も子供も楽しめるファンタジーまで。誰もが一度は手にしたことのある作品が、ずらりと並ぶ結果になりました。英国・米国文学ともに多くの愛読者から投稿が寄せられましたが、こうして見てみるとはっきりとその特徴が浮かんでくるようです。

米国文学…生き方学び名言に酔う

映画「風と共に去りぬ」のビビアン・リー(ワーナー・ブラザース ホームエンターテイメント提供)
映画「風と共に去りぬ」のビビアン・リー(ワーナー・ブラザース ホームエンターテイメント提供)
ヘミングウェイ『老人と海』(新潮文庫)
ヘミングウェイ『老人と海』(新潮文庫)

 ミッチェルの不滅の名作『風と共に去りぬ』(新潮文庫)に投稿が集中しました。富山県射水市の田辺節夫さん(90)は物語の舞台となった南北戦争後の米国南部に敗戦後の日本を重ねて読みました。「主人公スカーレットの言葉『Tomorrow is another day』に励まされました」。後に名女優ビビアン・リーが演じた映画を見て、さらに感動を深めたそうです。

 財産や夫を失ってもたくましく生き抜くスカーレットの姿は女性読者の心をつかみます。「彼女のバイタリティーに多くのことを学びます」という埼玉県加須市の遠藤由美さん(51)、「人としての生き方、愛し方を学びました」という広島市の手島耀ようさん(75)など、繰り返し愛読する人も多いようです。

 一方、ヘミングウェーも根強い人気があり、特に『老人と海』(新潮文庫)を挙げる声が目立ちました。「サメと老人との戦いに寝食を忘れて読みふけりました」というのは東京都町田市の富岡淳一さん(64)。ようやく釣り上げた巨大なカジキはサメに食いちぎられます。己の限界に挑む老人の姿が、研ぎ澄まされた文章で描かれています。

 横浜市の茂木房夫さん(61)は、探偵フィリップ・マーロウが活躍するチャンドラーの小説を推します。<厳しい心を持たずに生きのびてはいけない。優しくなれないようなら、生きるに値しない>(『プレイバック』ハヤカワ文庫、村上春樹訳)。「この名文句にしびれました」

 兵庫県芦屋市の平内晶子さん(24)は、アーヴィングの『ホテル・ニューハンプシャー』(新潮文庫)を挙げました。「行儀のいい英国文学に傾倒しかけていた私を、一気に米国文学の世界に連れ出しました」。起伏に富む物語は読む者を引き込む力があります。

 米国文学 1776年の独立宣言以降、本格的に文学の歴史が始まった。19世紀にはマーク・トウェーンやメルビルは、米国の広大な大地や海を舞台にした作品を発表し、20世紀になるとスタインベックやヘミングウェーらが活躍して米国文学の地位を確立させた。作家の村上春樹はチャンドラーらのハードボイルド小説に影響を受けている。

英国文学…鋭い洞察力 優れた物語

シェークスピアの生前に描かれたとみられる肖像画(AP)
シェークスピアの生前に描かれたとみられる肖像画(AP)
ブロンテ『ジェーン・エア』(新潮文庫)
ブロンテ『ジェーン・エア』(新潮文庫)

 偉大な劇作家シェークスピアに称賛の声が相次ぎました。青森市の長牛由美さん(43)のお薦めは『リア王』(白水Uブックス)。3人の娘への領土分与を発端に親子関係が決裂し、荒野をさまよう老王。「日本は高齢社会。老いの悲しさをよくここまで描いたと洞察力に脱帽です」。他にも『ハムレット』『ロミオとジュリエット』『ヴェニスの商人』(同)など数々の傑作を推す声が。広島市の沢めぐみさん(62)は、「描かれる人間の素晴らしさ、醜さが読者をひきつけます」とたたえます。

 ブロンテの『ジェーン・エア』(新潮文庫)にも、熱い投稿が寄せられました。孤児ジェーンは周囲から理不尽な仕打ちを受けながら、毅然きぜんとした姿勢で生き抜きます。子供時代に繰り返し読んだ横浜市の青木まさみさん(39)は、「大げさではなく私の命を救ってくれた本」と言います。

 「優れた児童文学が多いのも英国文学の魅力」と書くのは、鹿児島県日置市の川添敦子さん(36)。『ナルニア国ものがたり』(岩波少年文庫)に『指輪物語』(評論社文庫)、『ハリー・ポッター』シリーズ(静山社)など、確かに名作が目白押しです。

 埼玉県嵐山町の遠藤真理子さん(58)は、『クマのプーさん』(岩波少年文庫)と『ピーターラビットのおはなし』(福音館書店)を挙げます。実写化された映画が公開されたのも記憶に新しいところ。「紳士淑女の国だからこそ、こんなに素敵な物語ができたのかなと思います」

 茨城県つくば市の椛島かばしま住子さん(70)は、今読みたい本にノーベル文学賞を受賞したカズオ・イシグロの『日の名残り』(ハヤカワepi文庫)を挙げました。歴史と伝統の国からは、外国出身の作家によって今も素晴らしい作品が生まれています。

 英国文学 シェークスピア(1564~1616年)によって演劇が黄金時代を迎えた後、19世紀には近代小説のスタイルが確立され、オースティンやブロンテ姉妹ら女性作家も活躍した。20世紀初頭にロンドンに留学した夏目漱石は、ディケンズなどの流行小説からエッセンスを吸収し、読者を飽きさせない巧みな筋立てや優れた心理描写の技法を会得した。

気候・歴史に思いはせ

 『嵐が丘』の舞台となったハワースの荒野、シャーロック・ホームズの小説に出てくるロンドンの深い霧……。茨城県高萩市の大門玲代さちよさん(58)は「英文学に英国の気候は欠かせません」と言います。自然が豊かで雨の多いイギリスは、どこか薄暗い雰囲気が漂う作品が多く見られます。

 一方、独立の歴史を持つ国ならではの夢や自由を追い求める姿が描かれているのが、米国文学ではないでしょうか。フィッツジェラルドの『グレート・ギャツビー』はそんなアメリカを代表する作品。それぞれの国の気候や歴史に思いをはせて読むのも楽しいものです。(美)

47424 0 HONライン倶楽部 2018/11/07 05:20:00 2018/11/07 05:20:00 2018/11/07 05:20:00 映画「風と共に去りぬ」 https://www.yomiuri.co.jp/media/2019/01/20181029-OYT8I50082-T.jpg?type=thumbnail

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