[現代×文芸 名著60]生命を感じる<51>二・二六事件 前夜の悪夢…『雪の階』奥泉光著
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昭和11年(1936年)2月26日の青年将校たちによるクーデター「二・二六事件」。そのおよそ1年前の昭和10年4月、物語は幕を上げる。天皇機関説事件で世が揺れるなか、笹宮伯爵令嬢惟佐子の親友である大学教授の娘と国家改造を唱える青年将校が情死を遂げる。惟佐子と女性写真家がその死の謎を追って、さらに来日中のドイツ人音楽家が死亡して、物語は「その日」へと転がり始める。
まずはそんなミステリ仕立て、となればポリティカルに物語が進むかと思わせながら、そこは現代の「奇想の達人」たる著者の筆が虚々実々に
もちろん
物語の「その日」の前夜、雪の階の静寂が美しい。夢か