[現代×文芸 名著60]心に触れる<8>人の交わり 独自の文体で…『辻』古井由吉著
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文芸作品を書くとは、どういう行為か。それは書き手が作品にふさわしい文体を
『辻』は、連作
父と子の愛憎、男と女のさまざまな縁、生の中の死、死の中の生。「後にしたはずの辻が、また前に現われる」とは、幻を描くようだが、あくまでも具体的な日常の諸相に沿って出来事が述べられ展開される。「お前、坂を引き返して来る途中で、立ち
本書は濃密なエロティシズムを漂わせる。それはエロティシズムという語すら
そこにあるのは、単なる意味の指示ではない。イメージの広がりが愉悦を招き寄せるのだ。ドイツ語詩や漢詩にも造詣の深い作者が、散文を追い詰める先へ結実させる小説の世界からは、言葉を読む