[著者来店]「バレエ王国ロシアへの道」村山久美子さん…政治に翻弄 不屈の創作

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 ロシア舞台芸術史と舞踊評論の専門家が、ロシア・バレエの歴史と魅力を記した力作。長年書きためた論文が基だが、堅苦しくなく、同国のバレエを進化させた振付家の列伝風に構成した。日本でも人気のプティパ、フォーキンや、今なお現役のグリゴローヴィチ、エイフマンらが登場する。「ロシア・バレエを次の段階に発展させたと思える振付家を取り上げました」

 歩みや代表作、先人との関係などを解説する一方、時々の政治とバレエとの関わりも書いた。例えば、19世紀、プティパは民主化の機運を反映した「バヤデルカ」などの作品で人気を集めたが、反動勢力が巻き返すと厳しい検閲を受けた。20世紀のスターリン時代には、前衛的な創作をしたゴレイゾフスキーが左遷される。「ロシアでバレエは国の宝。皇帝の時代やソ連でも大事にされた反面、政権の影響がすごく強いんですよ」

 図らずもロシアのウクライナ侵攻が進む中の出版に。批判するダンサーや振付家がロシアから離れるなど「バレエ王国」は揺れている。「この本がより意味を持ったのでは」。それは、優れた振付家たちが政治に 翻弄ほんろう されつつも屈することなく斬新な作品を作ったことを書き込んだからだ。

 子供の頃からバレエを習い、大学2年の時、ソ連(当時)で名作「バフチサライの泉」を見て心奪われた。「ドラマ性に感動した。踊りが全部セリフ。お芝居を見ている感じでした」。傑作がどうして出来たかを探ろうと研究の道へ。早大大学院の博士課程を修了。ロシアと米国にも留学した。地道な資料収集や国内外でバレエを見続けた経験が今回の本に結実した。

 次のテーマは、今作でもかなりの紙幅を割いたプティパ。「完璧な美しさがたまらなくいい。つきつめていきたい」(東洋書店新社、2860円)編集委員 祐成秀樹

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