[著者来店]「一汁一菜でよいと至るまで」土井善晴さん…ご飯にみそ汁 食の原点

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 ご飯にみそ汁、漬物が基本。時には漬物がなくても良い。一汁三菜が食の基本だと考えてきた私たちの盲点を突いた『一汁一菜でよいという提案』(グラフィック社)を2016年に出すと、20万部を超すベストセラーとなった。「まずはみそ汁を作って、あとはご飯があれば、それで一つの食事が完成する。それは手抜きではない。晴れやかな食事を作ることが料理ではない」。そんなメッセージを込めた。

 本作は、なぜ一汁一菜を提案するようになったか、その理由を生い立ちにまで遡り、テレビでおなじみのあの軽やかな関西弁が聞こえてくるような文章でつづっている。

 料理研究家・土井勝の息子として大阪に生まれた。父の仕事を見て育ち、料理の道を志し、若い頃は、国内外の名店で修業を積んだ。その後、父の経営する料理学校を手伝うことになったのだが、「なんで私が家庭料理やねん」という思いが強かった。

 しかし、生活の中に美があると唱えた民芸と出会ったことで考えが変わる。〈普通の家庭料理がある暮らしがどれほど美しいものか〉。家庭料理こそ、食の原点と考えるようになった。それを突き詰め、一汁一菜という型に行き着いた。これを生活の柱とする。「自分たちの生活の基本、基準があるからこそ、小さな変化に気づく」という。

 みそ汁の具材に制約はない。ベーコン、マッシュルーム、ブロッコリー……。本人のSNSなどには様々な具材の入ったみそ汁が投稿されている。ブドウパンのトーストを入れたことも。おいしいのですかと尋ねると「人間の力でみそ汁をおいしくなんてできないんですよ」という答え。なぜなら「もともとおいしいから」。濃くても薄くても、熱くても冷たくてもおいしい。そこはかとなく、人生論のようでもある。(新潮新書、902円)前田啓介

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