[著者来店]「オッサンの壁」佐藤千矢子さん…男社会の理不尽 問う

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 全国紙で女性として初めて政治部長を務めた記者が、自身の経験をもとに、政界やメディア界の「オッサン」社会の実態とそれに対する思いをつづった。ただ、ここでいう「オッサン」とは、単なる「中高年の男性」という意味ではない。「男性優位に設計された社会で、その居心地の良さに安住し、その陰で、生きづらさや不自由や矛盾や悔しさを感じている少数派の人たちの気持ちや環境に思いが至らない人たち」のことであり、女性の中にも「オッサン」はいる、と指摘する。

 編集者から執筆の打診を受けた際、今後の取材がやりにくくなることなどを考え、一瞬ためらった。しかし、コロナ禍で雇い止めにあい、困窮する女性たちの姿が思い浮かんだ。子育ても担う女性は短時間でも働ける非正規雇用労働者が多く、宿泊業や飲食業など対面で行う仕事に就いている人も多い。コロナ禍は、そうした女性たちを直撃した。「自分と同じ女性がそんな目に遭っていることに、ショックを受けた」と打ち明ける。

 自身も、男性社会の中で時に理不尽な扱いを受けてきた。会社で電話に出ると「誰かいないの?」と言われたり、議員に抱きつかれたり、首相外遊に同行することに秘書官から抗議されたり。男性記者から、取材の場に声の高い女性がいると「空気が乱れる」と意見されたこともあった。それに耐え、自分も「オッサン化」して働いてきたが、「このままでいいのかなという気持ちがずっとありました」。

 「ジェンダーの問題は人権の問題。けれど、それにピンとこない人も多い」と話す。だからこそ、パワハラやセクハラは今もなくならない。そんな現状を少しでも変えられたらと願い、本の終盤、こう記した。<「オッサンの壁」は越えるものではない。壊すものだ。>(講談社現代新書、990円)金巻有美

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