[著者来店]「ロシア点描」小泉悠さん…不可解な国 素顔知って

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 ロシア軍がウクライナに侵攻した2月24日を境に人生が一変した。専門はロシアの軍事戦略。戦局について連日テレビで解説するかたわら、不眠不休で書き上げたのがこの本。「こんな時だからこそ、ロシア人の生活や思考をもっと多くの人に知ってほしい」

 副題は「まちかどから見るプーチン帝国の素顔」。普段の食事や共同住宅の暮らし、スーパーの品ぞろえからゴミ問題までを日常の目線で語る。ロシアは「他者に対する不信と信頼が同居している」不可解な国。そこから縁故主義や汚職、そしてクレムリンの権力構造、対外政策へと話を進める。かつてモスクワに1年半ほど暮らした体験を下敷きにした観察記は、優れたロシア人論でもある。

 ただし、「ロシア好き」とはちょっと違う。「妻はロシア人ですし思い入れはありますが、あくまで『仮想敵国』として興味がある。やっていることに同意できなくても、その行動原理を理解することは重要。ロシアは依然として大国ですから」と冷静に説く。

 「軍事オタク」としてロシアの兵器に興味を持ったのがきっかけで安全保障の研究の道に。現在は東京大先端科学技術研究センターで専任講師を務める一方、ツイッターなどでは変わらぬ「オタク」の素顔を披露している。「大学院を出た後で無職になった一時期、軍事雑誌に夢中で寄稿していた頃が、貧乏だったけれど一番楽しかった。アマチュアとして好きなことを究めたい性分なんです」

 毎年のように調査に行っていたロシアは、すっかり遠い国になってしまった。今、ロシアに言いたいことは? 「あからさまな侵略であるウクライナ侵攻を早くやめろ、に尽きます」。夢は妻の故郷モスクワをもう一度訪れること。その日はいつになるのか。(PHP研究所、1760円)松本良一

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