『臨界点の政治学』 有賀誠著

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 アメリカにおけるトランプ政権の誕生や、西欧諸国での排外主義の高まり。常識になっていたリベラリズムの危機を、そこに見いだす人は少なくないだろう。何が正しいのかを個々の市民の自由な選択に委ね、国家権力はそうした価値に関して中立的であるべきだとする前提。それを覆す動きが、政治において力を持つようになっている。同じく平和主義の常識も、テロリズムの横行を前に、その意味を問い直されている。

 しかし思想の世界では、すでに一九八〇年代から、リベラリズムの限界とその克服が論じられていた。ある価値を共有する共同体に属していることに人間の実像を見いだすコミュニタリアニズム。中立的とされる法の背後に権力の作用を見いだす批判的法学。人間性への重大な危機が発生したとき、武力によってそれを制止しようとする正戦論。

 こうした論争の全体像を、本書は整理して見せる。リベラルな政治原理は、さまざまな批判を受けることを通じ、時代に即した新たな構想を登場させてきた。その現状と、今後を考えるための道具が、ここには豊かに示されている。(晃洋書房、3500円)

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17157 0 書評 2018/04/23 05:22:00 2018/04/23 05:22:00 https://www.yomiuri.co.jp/media/2019/01/20180416-OYT8I50065-T.jpg?type=thumbnail

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