評・服部文祥(登山家・作家)

『未完の巡礼』 神長幹雄著

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 老舗山岳専門誌に長年所属していた編集者は、仕事柄、自然を相手に活動する多くの行動者たちと親交を持った。中でも自分のフィールドで事故死もしくは遭難死した6人に、押さえがたいおもいを感じ、かれらの足跡やゆかりの地を訪ね歩く。

 一般的に知名度が高いのは植村直己、星野道夫。登山者なら知らないものがいない長谷川恒男、山田昇、小西政継。そして世界中を旅して回った河野兵市。それぞれ日本を代表する登山家、クライマー、自然写真家、冒険家である。

 彼らの思い出の地は僻地へきちや山岳地帯であり、旅はままならないが、自分の肉体で荒野を移動する時間は著者を死者へと近づけていく。

 昭和の中盤から平成の初期に活躍した冒険家や登山家たちの生涯は激しく熱い。行動の基盤は個人の情熱や才能であろうが、現在から振り返ると、あの頃が行動者にとって幸福な時代だったことが見えてくる。

 6人のうち4人が43歳で亡くなった。情熱と肉体のバランスが崩れる年齢なのか。やるせなさと同時に妙なうらやましさも感じる。(山と渓谷社、1700円)

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21707 0 書評 2018/05/21 05:21:00 2018/05/21 05:21:00 https://www.yomiuri.co.jp/media/2019/01/20180514-OYT8I50050-T.jpg?type=thumbnail

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