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評・岸本佐知子(翻訳家)

『異常探偵 宇宙船』 前田司郎著

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 探偵小説……なんだろうか? 表の顔は頭巾をかぶったパート主婦、しかしてその実体は異常な事件を専門に扱う探偵「宇宙船」。ある殺人事件をめぐって繰り広げられる宇宙船と怪人「空気ゴキブリ」の対決を、『怪人二十面相』ばりの文体で描く。のだけれど、出てくる人物がことごとく社会の主流からはみ出たような人々だ。後ろ暗い趣味を抱えた被害者、蜘蛛くも男みたいな犯人、はとが主食の野生児、ものすごい美貌びぼうなのに頭の中身が小学生な探偵助手……。けれども町にうごめくこれら“隅っこの人々”に作者が注ぐまなざしは優しく、話は猟奇的なのに、手渡される感触は奇妙に温かい。そしてなにより助手の「米平こめひら少年」のトンチキぶりが最高に笑える。

 じつは宇宙船には幼い娘を失った悲しい過去がある。だが娘が実は生きていて、宇宙人に捕らえられていると脳内の「声」に教えられた彼女は、娘を奪還するために頭巾をかぶって探偵になったのだ。はたして宇宙船に救いは訪れるのか、それとも彼女は狂っているだけなのか。最後に不意打ちのように訪れる美しい結末に、たまらず泣いた。

 中央公論新社 1800円

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24086 0 書評 2018/06/04 05:21:00 2018/06/04 05:21:00 https://www.yomiuri.co.jp/media/2019/01/20180528-OYT8I50039-T.jpg?type=thumbnail

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