『出会い系サイトで70人と実際に会ってその人に合いそうな本をすすめまくった1年間のこと』 花田菜々子著

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「出会い系サイトで70人と実際に会ってその人に合いそうな本をすすめまくった1年間のこと」(28日、読売新聞東京本社で)=今野絵里撮影
「出会い系サイトで70人と実際に会ってその人に合いそうな本をすすめまくった1年間のこと」(28日、読売新聞東京本社で)=今野絵里撮影

普通の幸せはいらない

 「もう普通の幸せはいらない。恋愛も結婚もいらない。お金も安定もいらない。何もいらない。ただ今日見た光を信じて生きていこう」という決意に著者が至るまでを描いた本だがその道のりが奇妙に見事で面白い。

 “狭い人生を送っていた”と自らを俯瞰ふかんする著者は元・ヴィレッジヴァンガードの店長である。オモシロ雑貨とこだわりの本を陳列する通称ヴィレバンは店舗によって品揃しなぞろえが違うのが良くて私も好きだった。(やはりこういう魅力的な人が店長がゆえだと妙に納得)。旦那と別居中に時間つぶしと自分探しを兼ね、彼女ならではのアンテナに引っかかった出会い系サイトに足を踏み入れる。体目当ての男、ポエムを批評してくれと頼む人、スピリチュアル系の女性。タイトルのままに70人と出会い、約1万冊のデータベースが頭の中にある彼女ならではの神通力で、その人に合いそうな小説、漫画、エッセーなどをそれはそれは鮮やかにお薦めしてゆく。

 「みんなが不安定さを礼儀正しく交換し、少しだけ無防備になって寄り添ってるみたいな集まり」だったと語るネット社会派の住人はとても興味深い。ネットよりアナログ派の私としてはそこでの出会いにあまり肯定的ではなかったのだが、最終的にこんなサイトならやってもいいかな、という気持ちになっていた。私の周りの独身女子も出会い系を利用する友人が少なくない。万が一の事件に巻き込まれやしないかひやひやしていたのに。彼女は本であったが、与えることがそもそも幸せなのだ。その気づきこそが経験から著者が引き寄せた光なのだろう。その姿勢こそがSNSで最も欠けている部分ではないかと思う。いい相手ひといないよね~とぼやいてるこじらせ男子&女子に欠けているものは能動的にもっと愛を与える事なのだ。読み終わりに、アマゾンで結果5冊も本を買っていたのだから、たぶん菜々子の思うつぼなんだと思う。(いつの間にか呼び捨て)。

 ◇はなだ・ななこ=1979年、東京都生まれ。現在は「HMV&BOOKS HIBIYA COTTAGE」店長。

 河出書房新社 1300円

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24582 0 書評 2018/06/11 05:25:00 2019/01/16 10:17:23 「出会い系サイトで70人と実際に会ってその人に合いそうな本をすすめまくった1年間のこと」(28日、読売新聞東京本社で)=今野絵里撮影 https://www.yomiuri.co.jp/media/2019/01/20180604-OYT8I50019-T.jpg?type=thumbnail

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