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『水銀のゆらぐ言』 柿沼裕朋著

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『水銀のゆらぐ言』
『水銀のゆらぐ言』

 コラージュから着想された物語、物語から生まれたコラージュが、見開きの左右に並ぶ。百年に一度だけページがめくられる本、言葉で築かれた楼、溶けて水になる言葉など、物語の基点となるのはつねに言葉で、そこでは言葉は質量や触感をともなう物質のように描かれる。

 「ことばのかけら」という物語では、ひらがなの<かけら>が漢字の世界に入って<欠片かけら>となり、ルビー色したルビの<かけら>を道連れに数々の冒険をする。漢字をたらふく食べて<欠>が取れて<片>となり、賭場でルビの<カタ>を“かた”に入れてひともうけし、かと思えば鏡で体が反転して<版>となり、そこから分身の<片>がたくさん生まれ……と、漢字のビジュアルで遊ぶ洒落しゃれっ気は多和田葉子の小説に通じる面白さがある。眺めても読んでも楽しい、大人のための童話集だ。

 国書刊行会 2000円

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26474 0 書評 2018/06/25 05:20:00 2019/01/16 11:07:27 『水銀のゆらぐ言』 https://www.yomiuri.co.jp/media/2019/01/20180618-OYT8I50011-T.jpg?type=thumbnail

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