『植物たちの救世主』 カルロス・マグダレナ著
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真のプラントハンター
動物のハンターとプラントハンターは、言葉は似ているが、実は全く性格が違う。
前者は、周知の動物のいのちを奪い、私欲を満たすもの。三年前、米国の歯科医師がアフリカでライオンをハンティングして国際的な非難を受けたのが、その典型例だ。後者は、世に知られぬ植物についてその性質を明らかにし、増やし、そして世に広めるもの。ただ消費するだけか、知識をもとめ、繁殖させようとするかで、大きく異なる。日本で最近話題の自称プラントハンターは、むしろ動物のハンターに近い。
本書の著者は、それとは好対照の人物だ。世界最大にして最高の植物園・キューガーデンで、繁殖が困難な
対象は難物ばかり。何十年も花だけ咲いて、種子のできない樹。種子を
登場する花は魅力的な種類ばかり。現地調査の臨場感も楽しめるので、園芸趣味の方に広くお勧めできる。アジアでは
◇Carlos Magdalena=園芸家。国際スイレン・ウォーターガーデニング協会の役員。
柏書房 2600円