評・坂井豊貴(経済学者・慶応大教授)

『刑務所しか居場所がない人たち』 山本譲司著

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 二〇一六年に刑務所に入った約二万人のうち、知的障害の可能性が高い人は二割に及ぶという。障害そのものが犯罪をうむわけではない。障害が生活の困窮をうみ、それが犯罪をうむのだ。その罪状の多くが、窃盗や無銭飲食、無賃乗車などの軽い罪である。

 医学的には、知的障害者の大部分は、軽度である。一定の日常生活ができ、外見では知的障害だと分からない。福祉の対象になりにくいが、本人は大変な生きづらさを抱えている。家族や社会と縁が切れている者も多く、出所後に再犯する割合が高い。そうして「累犯障害者」がうまれ、「刑務所がおうち」になる。刑務所の一部は福祉施設のようになっている。

 日本の障害者福祉予算は、先進国としては非常に少ない。著者は、受刑者の更生保護と、出所後の支援に予算をかけることを提案する。再犯を防ぐのは、予算の有効活用でもある。「犯罪者」をきめ細かく支援するのだ。

 障害と前科に苦しむ人を、排除せず、包摂する社会。誰もが安心して暮らせる社会とは、そのようなものではないかと著者は問いかける。

 大月書店、1500円

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40899 0 書評 2018/09/03 05:22:00 2018/09/03 05:22:00 https://www.yomiuri.co.jp/media/2019/01/20180827-OYT8I50070-T.jpg?type=thumbnail

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