評・苅部直(政治学者・東京大教授)

『日航機123便墜落 最後の証言』 堀越豊裕著

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 三十三年前の夏、五百二十名もの乗客・乗員が亡くなった日本航空123便の墜落事故。その事故原因の究明はいかに行われたのか。共同通信の記者が取材した記録を一冊にまとめた。

 そこで浮き彫りになるのは、事故から十日後に原因が圧力隔壁にあるとつきとめ、早期に新聞で公表させた、米国政府関係者の対応の素早さである。それに対して日本の事故調査委員会は調査結果の公表を遅らせ、遺族からの不信を招いた。

 実は撃墜されたのではないかという説がこれまで何回も登場しているが、著者による調査に照らせば、合理的な説明とはとても言えない。だがそうした陰謀説も、事故がもたらした衝撃の大きさゆえに生まれたのだろう。

 著者はあくまでも事実の確定に努めながら、自分とは異なる見解も含む、さまざまな立場の関係者の声を柔らかくうけとめる。そして、こうした事故を二度と起こさせてはならないという彼らの願いを伝えることに徹している。五年もの間、日米両国で取材を続けたことで可能になった、調査報道の出色の成果である。

 平凡社新書、900円

無断転載禁止
41000 0 書評 2018/09/17 05:22:00 2018/09/17 05:22:00 https://www.yomiuri.co.jp/media/2019/01/20180911-OYT8I50019-T.jpg?type=thumbnail

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