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『岩倉具視』 坂本一登著

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 この本では、岩倉具視を明治政府の「練達の脇役」と評している。たしかに、新政府の確立を実質上基礎づけた鳥羽・伏見の戦いや廃藩置県において、重要な役割をはたしたわけではない。

 幕末期に日米修好通商条約の勅許に反対して、八十八人の公家のリーダーとして京都の御所へ列参したとか、王政復古のさいに倒幕反対派の大名を一喝したとかいった伝説が知られてはいる。だがそれも岩倉の功績を強調するための誇張もしくは創作である。

 しかし著者によれば、この「脇役」が漸進主義をモットーとする「調停者」として働いたからこそ、新政府は分裂を回避しながら改革を進めることができた。安定した政治運営が続いている時期には、こうした政治家は単なる現状維持勢力にとどまってしまうだろう。

 だが、大きな制度改革のまっただなかでは、諸勢力のあいだのバランスをとる「調停者」がいなければ、方針をめぐる対立が、たちまち政権の分裂と崩壊を招いてしまう。明治政府の隠れた主柱といえる「脇役」の政治技術について、簡明に教えてくれる評伝。

 山川出版社 800円

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42652 0 書評 2018/10/01 05:21:00 2018/10/01 05:21:00 https://www.yomiuri.co.jp/media/2019/01/20180928-OYT8I50000-T.jpg?type=thumbnail

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